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水野 祐が解説。明日がわかる「法律」の最新時事用語事典

ステップアップを成し遂げるためには、スキルを身につけることと同じように、新しい知識を手に入れることも大切。そこで、弁護士・水野 祐さんに、ちょっと先の未来を見据えた「法律」における最新キーワードを解説してもらいました。新たな学びは、新たな言葉を知ることから。リスキリングの武器となる、最新時事用語集です。

illustration: Kei Hagiwara / text: Ikuko Hyodo / edit: Ichico Enomoto

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SDGsは広く認知されたものの、目標の設定だけでは限界も見えてきた中、抜本的な改善策となり得るのは、やはり法律。持続可能な社会の実現への法的アプローチは、ここ数年でより重要になるはず。

ステークホルダー資本主義

会社が株主の利益を第一とする「株主中心主義」を是正する流れとして、注目される経営のあり方。従業員や取引先など直接的ステークホルダーのみならず、地域社会や環境など間接的ステークホルダーにも配慮し、持続的な利益の還元を目指す。

こうした社会的責任を果たしている企業に発行される、国際的な認証制度「Bコープ」を取得する企業が世界的に増えている。

ステークホルダー資本主義の図
株主だけでなく、さまざまな利害関係者に配慮。

デジタル主権

EUで積極的に提唱している概念。ビッグテックからの個人データ保護を目的に、EUは2016年に「GDPR(一般データ保護規則)」という厳格な法令を発効。個人データは本人に帰属する新たな人権であり、取り扱いを自己決定できるものとし、そのルールが実質的に国際標準化している。

さらにデータのみならず、デジタル技術によるさまざまな便益を他国の介入なしに享受する権利が認められるべきだという主張に発展。革命によって国民主権を勝ち得た歴史を持つフランスは、特にその発想が強く、自国・地域を守るために、ある種のルール覇権競争が国際的に繰り広げられつつある。

ELSI/RRI

ELSIは米国発の言葉で「倫理的・法的・社会的課題」の略語。RRIは主にEUで使われており、「責任ある研究・イノベーション」の略。テクノロジーの急速な進展に伴い、将来的に起こり得る社会的・倫理的問題、そのための法律など、予見的な議論を必要とする考え方。

2018年、中国でゲノム編集ベビーが誕生し、大きな問題となったが、生成AIの登場やバイオテクノロジーの著しい進化に対して、法整備は不十分といえる。テクノロジーと人権の再構成に関する議論は、喫緊の課題とされている。

ELSI/RRI 将来的に起こり得る社会的・倫理的問題、そのための法律など、予見的な議論を必要とする考え方の図

ウェルビーイングと法

ウェルビーイングも法で定める時代に。イギリス・ウェールズでは2015年「ウェルビーイング未来世代法」が施行。自治体が政策などを決める際、将来世代の幸福につながっているかチェックし、それらの公開を義務化。一部の層、現在世代のみのニーズにならないよう配慮されている。

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