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藤村龍至が解説。明日がわかる「建築」の最新時事用語事典

ステップアップを成し遂げるためには、スキルを身につけることと同じように、新しい知識を手に入れることも大切。そこで、建築家、東京藝術大学准教授・藤村龍至さんに、ちょっと先の未来を見据えた「建築」における最新キーワードを解説してもらいました。新たな学びは、新たな言葉を知ることから。リスキリングの武器となる、最新時事用語集です。

illustration: Kei Hagiwara / text&edit: Ichico Enomoto

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かつては造る能力が大事だった建築家は、今は想像する力が必要。そのほかにもさまざまなスキルが求められるようになった。コミュニティデザインでは合意形成能力が求められ、リノベーションでは事業主の起業支援、そして不動産取引や資金調達をし始める建築家も。今後も多彩なスキルを持つ建築家は増えそうだ。

コーヒーアーキテクト

例えば谷中の〈HAGISO〉のように、物件を購入して改修し、カフェやゲストハウスなどの事業計画を立て、賃料収入を稼ぐなど、自ら事業主になることで収益を上げる建築家が定番化してきた。

コーヒーを淹(い)れる建築家、「コーヒーアーキテクト」とも呼べる。エリア全体をプロデュースするエリアリノベーションを手がけることも多い。

マーケットアーキテクト

2015年頃からまちと建物を一体で捉えるまちづくりが始まり、公有地を活性化させようという流れに。河川沿いを歩けるようにしたり、公園に人を集めるために、隣接する建物も一体で計画する。このとき土木と建築の接点をデザインできる人は強い。

歩きたくなるまちなかや空間をデザインできる人が重宝され、広場でマーケットを企画する建築家も増えてきた。

マーケットアーキテクト
ウォーカブルなまちなかをデザインするマーケットアーキテクトも。写真提供:RFA

コンソーシアムアーキテクト

公共建築は、老朽化した建物の建て替えに伴い、今後増えていくことが予想される。そういった大型のコンペでは、設計と施工、管理運営など多職種が連携して共同事業体、つまりコンソーシアムで臨むことも多い。

どれだけ幅広いコネクションを持っているかや、チームワークが勝負となる。参入するのは難しいが、大型プロジェクトの仕事が取れれば大きな額になる。

インバウンドアーキテクト

ニセコなどのように海外からの投資が多い地域はそれだけ建築の仕事もある。そういった場所では日本的なデザイン、和モダンのデザインが好まれる。今年日本建築学会賞を受賞した魚谷繁礼も、京都を拠点に町家をリノベーションした宿などを次々と手がけ、注目を集めている。今後もインバウンドの勢いは続くだろう。

京町家を改修し、2020年に開業した〈nol kyoto sanjo〉
魚谷繁礼の意匠設計により京町家を改修し、2020年に開業した〈nol kyoto sanjo〉。撮影:ディスカバリー号

居場所アーキテクト

カフェやランドリーを併設したクリエイティブな福祉施設など、開かれた建築が注目されている。福祉だけでなく学校や病院といった公共の場でも“居場所”が必要という議論とともに、居場所のデザインが求められている。

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