『この会社に好きな人がいます』榎本あかまる/著
推薦者:川村豪
隠しているつもりでもバレバレの恋愛を追体験。
仕事の現場を舞台にしたマンガが多い『モーニング』ならではのラブコメ。出会いのきっかけとしては決して珍しくない「社内恋愛」の実情を覗くことができる作品。
経理部の慎重な立石と企画部でキャリア志向の三ツ矢という、性格も正反対な主人公2人が、周囲に隠れて交際することに。どんなに忙しくても、好きな人が会社にいると楽しくなる。そのバレそうでバレない社内恋愛の様子がリアルで面白い!
周りにバレたくない恋愛のスリルと、2人きりになった時のイチャつきぶりを読めば、学生時代や社会人になったばかりの頃の恋愛感情が思い出せるはず。当人たちは隠し通しているつもりでも、周りにはバレバレということは、私自身の日常経験でもあるあるです。
『一線こせないカテキョと生徒』地球のお魚ぽんちゃん/著
推薦者:SYO
永遠に交わらない、2人の思い。
恋って、疲れますよね。一喜一憂して舞い上がったりどん底に落ちたり振り回されちゃうから、仕事との両立がしんどい。そんなこと思ってるうちに、恋愛のイロハも忘れちゃった……という方に、このクレイジーラブコメをオススメします。
1+1もわからないほどミラクルなレベルでおバカな高校生と(授業にかこつけて)一線を越えようとする家庭教師の奮闘を描く本作。予想外のオチが満載のドタバタ劇にケタケタ笑いつつ、「“好き”ってなんて自由なんだ!」と思ったら、もうあなたは恋したくなっているはず。
そう、やっぱり恋って楽しい。盲目になったって恋の方法論を忘れたっていいじゃない。2人のように、ただただピュアに心のままに突っ走っちゃいましょう!
『日出処の天子 完全版』山岸凉子/著
推薦者:青柳いづみ
触れることのできない届かぬ存在が恋なのでしょう。
絶対的才能。人間という器には持ってはならない力を、そして欠落した部分を持って生まれ落ちた人。王子が夢殿に籠り三千世界の彼方を見、雨乞いを成功させる場面があまりに美しく、私は恋をしました。
雨を降らせ止ませられる人でなければ駄目だ、と。王子が好き過ぎて聖徳太子に纏わる他の作品も読み漁ったけれど、恋する王子はここにしかいなかった。でも私には、進むべき道が見えぬと涙を流す王子に手を差しのべることは決してできない。触れることのできない届かぬ存在。それが恋なのでしょう。
とにかく私が厩戸王子に恋をしてしまったというだけですが、恋心を抜きにしても素晴らしいです。そんな言葉では足りない、値する言葉がまだ見つかりません
『どぶがわ』池辺葵/著
推薦者:兎来栄寿
次の恋への準備として独り時間の豊かさを知る。
恋は無理にしようとしてするものではありません。気づいたらしているものです。もしかすると、ちょっとほかのことで疲れてしまって恋をしにくくなっている状態なのかもしれません。そんな時には、まずのんびりできる時間を取って、おいしい物を食べて、そしてこの一冊です。
この作品では質素な独居でありながらもそこに寂しさを感じさせない、むしろ豊かさに満ち溢れた老婆の暮らしが描かれます。もし仮に良い縁に巡り合えなかったとしても、人は独りでもこれだけ幸せな時間を過ごしていくことができるのだ、という安心を覚えます。
余裕と穏やかさを携えて日々を過ごしていれば、いざ良い出会いがあった際にも、ベストな状態で迎えられるのではないでしょうか。