大貫達正のマイ・ルール
デニムジャケットと、歴史や系統が同じ服なら調和が取れる
私の中でデニムは不思議な存在で、ファッションに興味を持つ前からかっこいいものの対象でした。そんな思いもあり、少し大袈裟ですが、私にとってデニムジャケットは正装なんです。目的や会う人、気候によっても選ぶモデルが変わります。友人とのカジュアルな食事会なら色落ちしたライトブルーのものを、という具合。雨の日は、移染するインディゴは絶対に選ばない。
その着こなし方は、例えば、ウエスタン発祥の〈ラングラー〉の1950年代のデニムジャケットなら、同年代を背景に持つデザインやネイティブアメリカン・テイストの服を合わせる。そうやって点を線にしながらコーディネートすると、チグハグに見える組み合わせが自然とまとまります。
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世界初のデザイナーズデニムブランド、〈ラングラー〉で通称“ファースト”と呼ばれる1955〜57年製のデニムジャケット「111MJ」。肘部分のアタリ、“蜂の巣”や自然な濃淡が気に入り購入。稀少なうえ、生前にジョン・レノンが愛用していたこともあり、ヴィンテージ市場でも価値の高い人気モデル。
Coordinated Items
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〈オールデン〉の革靴"
〈ラングラー〉発祥の地を代表するネイティブアメリカン・モチーフが施されたメモリアルパンツとスタッズベルト。〈大坪シャツ〉のシャツと〈オールデン〉の革靴は、1950年代を象徴する仕様のもの。
金子恵治のマイ・ルール
サイズ選び一つで、ベーシックから逸脱した装いに
デイリーに穿きやすいジーンズと違って、表にポケットなどのデザインが施されたデニムジャケットは主役級の存在感があります。印象が強いだけに、着用するのは毎月1、2日程度。気分を変えたい時に効果は絶大です。特にビッグサイズのものは、デザイン自体はスタンダードながら、ポケットの位置や比率がアンバランスになるので、個性が強まります。
ルーツは作業着ということも考慮して、ルーズになりすぎないようにドレスアイテムを着こなしの軸に据える。座った時のために、抜かりなく靴下もドレス仕様に。これが、僕なりのデニムジャケットを着こなすためのレシピ。サングラスとキャップは、どんな装いも自分らしくなる味つけのようなものです。
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アメリカ西部発の老舗ワークウェアブランド〈タフナッツ〉の1950年代のカバーオール。古き良きアメリカンクラシックを象徴する一着だ。「私にとってのベストコンディションで、これ以上経年変化していたり、逆にきれいだったら、手を出さなかったと思います」と一目惚れして、福岡の古着店で購入。
Coordinated Items
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左/ナポリのハンドソーシャツメーカー〈サルヴァトーレ ピッコロ〉に、〈ナイスネス〉がオーダーしたストライプシャツ。右/NYの老舗高級ブティック〈A. Sulka&Company〉のヴィンテージシャツ。
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