決意のルージュが沁みる
映画の登場人物が、何かを決心する瞬間。自分を見つめ直すために鏡の中の自分自身を見るシーンにもぐっとくるけれど、真っ赤な口紅を引くシーンには、さらに並々ならぬ意志の強さを感じてしまう。それは大事件の予兆でもある。
『エヴァの告白』
「私はゴミじゃない」と自分に言い聞かせ、女は唇を血で染める
故郷ポーランドの戦火を逃れて渡米したエヴァは、仕事を得るも間もなく違法滞在で施設に収容され、ゴミのような扱いを受ける。「私はゴミじゃない」と自分に言い聞かせ、針を刺した指先に滲(にじ)む血で唇を塗るエヴァ。それは体を売ってでもこの苦境を生き抜くことの宣言にほかならない。その勇ましさには心が震える。
#考えさせられる #胸が痛い
『イングロリアス・バスターズ』
女が赤い口紅を塗る時、命懸けの復讐が始まる
第二次世界大戦下のパリ。ナチスに家族を殺されたユダヤ人のショシャナは、別人になりすまして映画館を営んでいる。そんな中、彼女の映画館でナチスのプロパガンダ映画の上映会が開催されることに。千載一遇のチャンスを得た彼女は、ドレスアップした姿で真っ赤な口紅を塗り、命懸けの復讐を決意するのだった。
#アツくなる #胸が痛い
束の間の一家団欒(だんらん)が沁みる
当たり前のことのように思えて、家族がみんなで集まれることはとても幸せなこと。とにかく忙しい今の時代においてはなおさらだ。改めてそう思える、束の間の家族団欒が、沁みる映画の中にはある。
『家族を想うとき』
仕事に翻弄される日々で忘れていた、家族との幸せなひととき
マイホームを夢見る宅配ドライバーのリッキーと介護福祉士のアビーは、息子や娘と過ごせないほど忙しい日々を過ごしていた。思いやる余裕も持てずに少しずつ壊れていく家族関係だったが、久しぶりに家族で食卓を囲んだ時、お互いの笑顔が帰ってくる。アビーの急な仕事へも一緒に向かう、そんな優しさを取り戻す。
#考えさせられる #悲しい
『ニンゲン合格』
不器用な一家は団欒の姿もやっぱり不器用だ
交通事故に遭い10年寝たきりだった豊が目覚める。その間、彼の家族はそれぞれに問題を抱えて離散していたが、豊の努力の甲斐あり、母と妹は家に戻ってくる。ある晩、一家で食卓を囲んでいると、ニュース番組に父が登場。テレビ越しではあるが、ようやく家族全員が揃う。不器用な一家の団欒を見事に表現したシーンだ。
#味わい深い #考えさせられる
健闘を称える声援が沁みる
ことスポーツにおいて、拍手や声援を向けられるのは、必ずしも勝者に対してだけではない。オーディエンスは、勝ち負けを楽しむ一方で、スポーツマンシップの清々しいドラマを観たいと思ってもいるからだ。
『ルディ』
映画の主人公は、必ずしもスーパースターである必要はない
アメリカの名門ノートルダム大学で、憧れのアメリカンフットボール部に入部した主人公ルディ。しかし4年間で1試合も出場することなく、大学最後の試合も残り3分。ルディの努力を見てきたチームメイトたちから発生した小さな「ルディ」コールは、会場全体を包む大コールへと変わる。
#アツくなる
『ドリームプラン』
初めての“負け”を経験したテニスプレーヤーを、歓声が包み込む
テニス未経験の父親が手がけた計画書を基に、スター選手を目指す娘のビーナスとセリーナ。ジュニアとして頭角を現すが、父からの大会出場禁止令により練習のみの日々を過ごしていた。14歳でようやくプロのコートに立ったビーナス。決勝で敗れたものの、会場の外には彼女のゲームを待ち望んでいた観客たちの姿があった。
#アツくなる #共感できる
夢中の恋が生むひたむきさが沁みる
恋というのは人を夢中にさせるもの。映画で表現されるその力強さは、いまだに衰えることを知らず、恋愛映画の多くは私たちの心を震わせ続けている。恋した者たちは、なぜそこまでするのか?彼らはその時、一世一代の恋をしているのだ。
『街の灯』
盲目の花売りをめぐる、夢中すぎる恋
盲目の花売りに恋をした浮浪者は、貧困にあえぐ彼女をサポートすべく、賞金目的でボクシングの試合に出場。あえなく敗退するも、かつて自殺から救った富豪と再会し、恵んでもらった大金を彼女に渡して去る。自分も苦しい身の上なのに、それを差し置いてひたすら愛する人への忠誠を誓う。夢中の恋、ここに極まれり。
#味わい深い #キュンとする
『ビッグ・フィッシュ』
愛する女性のためなら、3年のタダ働きも何のその
サーカスで見かけた女性に一目惚れし、彼女を知るためにそこで働くことにしたエドワード。タダ働きの対価として、月に1度「彼女はスイセンが好き」などのささやかな情報を教えてもらうだけだが、純粋な彼は大満足。3年働いた末、家を教えてもらった彼は、彼女の部屋の窓から見える一帯にスイセンを咲かせるのだった。
#共感できる #キュンとする