文字だからこそ伝えられる本心が沁みる
面と向かって言えない本当の気持ちを、なぜか手紙やメールでならば伝えられる。そんなシーンを描いた映画がたくさんある。たとえそれが代筆だとしても、いや、だからこそ伝えられることも、文字にはあるようだ。
『ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから』
正体を偽っているからこそ書ける真実の言葉
孤独なエリーは同級生の男子からラブレターの代筆を依頼される。相手は高校一の人気者、アスターだ。彼女に淡い恋心を抱く同性愛者のエリーは、手紙にその思いをしたためる。正体を偽っているからこそ書ける真実の言葉は、人気者なりの苦悩を抱えるアスターの心に安らぎを与えるのだった。
#共感できる #考えさせられる
『グリーンブック』
誰かの受け売りで書いたとしても、その気持ちが伝わるのが手紙の本分
黒人ジャズピアニストのドクター・シャーリーと、ドライバーとして雇われたイタリア系白人のトニーが旅に出る。妻への手紙をうまく書けないトニーに、シャーリーは詩的な表現を指南する。手紙に感動していたトニーの妻ドロレスは、シャーリーが訪ねてきた時に告げる。「手紙をありがとう」
#味わい深い #癒やされる
『(ハル)』
筆跡もわからないパソコン通信に集う、傷ついた2人
会社員の速見がパソコン通信の映画フォーラムで意気投合したのは、(ほし)という男性ユーザー。だが、(ほし)の正体は、恋人を亡くして心に傷を負った女性だった。嘘をついたことを詫びる(ほし)を受け入れる速見。彼もまた、実生活では夢を諦め、自身を偽る日々を送る寂しい人だった。
#キュンとする
『チャーリング・クロス街84番地』
注文書と納品書を超えた、互いを支える手紙のやりとり
きっかけは、ニューヨークに住む脚本家のへレーヌがロンドンの古本屋に宛てた注文の手紙。所望の本と一緒に店主から丁寧な返信が届くと、温かな文通が開始。戦時下にはへレーヌが古書店のスタッフみなに物資を送り、いつしか互いに生きる糧となっていた。親友になるための自己紹介は、好きな本だけで十分だった。
#味わい深い
『ラブ・アクチュアリー』
スケッチブックに綴った文字で、無言の告白
親友と結婚した女性に恋するマークは、聖夜に彼女の家のベルを鳴らす。運よく玄関先に現れた彼女に「しー」と指を立て、スケッチブックに綴った文字をめくって愛を告げるマーク。「報われない僕の心は君を愛し続ける。君がこんな姿になる日まで」という言葉の隣には、ミイラの写真まで。無言の告白は切なくもロマンティックだ。
#共感できる #キュンとする
期限つきの友情が沁みる
いつまでも友達だと思っていた関係は、環境やライフステージの変化によって、思ったよりも簡単に壊れてしまうもの。沁みる映画の主人公たちは、その儚(はかな)い友情がいつか失われることを知っているかのように、激しく振る舞う。
『ハズバンズ』
やがて終わってしまうからこそ切実な中年男たちのバカ騒ぎ
親友の葬式で久しぶりに再会し、人生の短さを痛感した3人の中年男は、家庭も仕事も放り出して遊びまくることを決意。かくして幕を開けた目も当てられない乱痴気騒ぎは、その時間がやがて終わってしまうことを誰もが意識しているからこそ、のっぴきならない切実さが漂う。いくつになっても人生に惑う大人たちの青春映画。
#味わい深い #共感でき
『さらば青春の光』
我が青春の象徴を、崖からぶん投げて大人になる
ジミーは週末になるとモッズ仲間とともに、ドラッグや乱交に明け暮れる日々を過ごしていた。しかし、ある時モッズのカリスマ的存在であるエースが職場でペコペコする姿に遭遇。絶望した彼は岬に向かい、乗っていた仲間のベスパを崖から投げ落としてしまう。
#胸が痛い
『アウトサイダー』
青春の終焉に言い残された、「そのままでいて」
不良グループに所属するポニーボーイは事件に巻き込まれ、友人のジョニーと教会に身を潜めていた。しかし火事が原因でジョニーは死亡し、ショックを受けた仲間も自暴自棄の末に警官に射殺される。青春の日々に陰りを感じるポニーボーイに、ジョニーは手紙で「そのままでいて」と言い残した。
#味わい深い #考えさせられる
『グッド・ボーイズ』
幼少期ならではの友情の儚さが郷愁を誘う
マックス、ルーカス、ソーの悪ガキ3人組は、大冒険の末、固い絆を再確認するのかと思いきや、それぞれの仲良しグループを見つけ、別の道を歩むことに。たまたま近所に住んでいたから親友と思い込んでいただけで、その関係が未来永劫続くわけではない。幼少期ならではのその友情の儚さは、郷愁を誘うに違いない。
#アツくなる #共感できる
『さらば冬のかもめ』
投獄までの1週間に詰め込んだ、めちゃくちゃな青春
海軍下士官のバダスキーとマルホールは、罪を犯した新兵メドウズを1週間かけて刑務所に護送することに。ギャンブル、喧嘩、女、寒空の下のBBQ。2人は青年期のほとんどを刑務所で過ごすことになるメドウズに、束の間の青春を贈り、人生とは何かを伝える。世間に未練を残したメドウズは脱走を試みるが、バダスキーらは逃さない。それも人生だ。
#味わい深い