沁みる映画案内101 Vol.1『ガタカ』『レオン』etc.

大きな物語の中の小さな約束が沁みる

映画の登場人物たちは、しばしば誰かと約束を交わす。その約束が果たされるのか、破られるのか。観る者はそれを気に留めながら観ていたはずがそのうち忘れてしまい、ハッとするタイミングで心を震わせることになる。

『ブリッジ・オブ・スパイ』

スパイ交換の裏で、イギリスのマーマレードを買う約束

冷戦下のアメリカ。スパイ交換の交渉役に選ばれたのは平凡な家庭の父、ドノヴァン（トム・ハンクス）だった。国家機密のミッションは家族にも秘密。クライアントのいるスコットランドでサーモン釣りだと噓をつき、実はベルリンに向かうドノヴァン。妻メアリーと、英国土産のマーマレードを買う約束を交わしていた。

#考えさせられる　#胸が痛い

誰かのための自己犠牲が沁みる

損得勘定とは無縁の、無償の愛。誰かを守るため、生かすため、そして未来のため。映画の中のピュアな自己犠牲には、時に心を洗われる。それだけでは済まされず、数日引きずるような、ハートにズシンとくるケースもあるけれど。

『ガタカ』

選ばれざる者の夢に、自分の未来を託す

遺伝子操作で生まれた“適正者”がエリートだと見なされる近未来。自然出産で誕生したヴィンセントの夢は宇宙飛行士だったが、それは適正者の職業だ。彼は運命に抗（あらが）うため、不法に適正者IDを買い取る。提供者はかつて将来を約束されながら下半身不随となった元水泳選手、ジェロームだった。

#悲しい　#癒やされる

『オンリー・ザ・ブレイブ』

深刻な被害をもたらす山火事の裏に、自己犠牲の実話がある

巨大な山火事に、エリックをリーダーとして数々の山火事被害を食い止めてきた精鋭部隊（ホットショット）が出動。しかし未曽有の大火に逃げ場を失い、薄い防火テントに身を包み炎の通過を待つだけとなる。そこにいないのは、見張り役として残してきた新米のブレンダンだけだった。

#アツくなる　#胸が痛い

『マイ・ボディガード』

己の命と引き換えに少女を救うボディガードの覚悟

心に傷を持つ元CIAのクリーシーは、少女ピタの護衛を引き受けることに。ピタの純真さに心を癒やされていくクリーシーだったが、ピタがさらわれてしまう。最後の最後で救出に成功するも、それは彼自身の命と引き換えが条件。さよならの代わりに、ピタを抱擁する彼の微笑みが切ない。

#胸が痛い　#悲しい

『スポンティニアス・コンバッション／人体自然発火』

人体発火男は恋人のために最後の力を振り絞る

ある日を境に指先から火が噴き出すようになった高校教師のサム。その裏には核実験をめぐる政府の陰謀があった。すべてを解決した彼は、最後の力を振り絞り、同じ能力を覚醒してしまった恋人の体から“火”を吸い取る。「僕が引き取る」と一言残して消失するラストには、ただただ呆然とするしかない。

#考えさせられる　#悲しい

『奇跡の海』

純粋無垢な女性のけなげさが奇跡を呼ぶ

主人公は信仰心の厚いベス。彼女の夫は、仕事中の事故で全身麻痺になってしまう。しかし「別の男と不倫してその話を聞かせてくれ」という夫の願いを渋々受け入れると、不思議なことに彼の容態が回復。神の恩恵だと信じた彼女はさらなる復調を願い、誰も寄りつかぬ危険地帯へと乗り込んでいく。そのけなげな姿に胸が痛む。

#考えさせられる　#胸が痛い

『レオン』

束の間の共同生活で築いた絆を、総動員された警官隊が裂く

外出中に家族を殺された12歳の少女マチルダと、それを助けた隣人で凄腕の殺し屋であるレオン。悪徳麻薬捜査官スタンフィールドへの復讐は壮絶な銃撃戦となる。多勢に無勢の窮地でレオンは2人同時に助かることは難しいと判断し、マチルダだけが逃げられるルートを作り、送り出す。

#胸が痛い　#悲しい