愛って、個と個の関わり合いで生まれる
コロナ禍が始まった頃に観て以来ずっと忘れられない映画です。至るところで分断や対立が見られる今だからこそ、改めて考えたい愛が描かれていると思います。
朝鮮戦争下の捕虜収容所で結成されたタップダンスのチーム。国籍も言語もイデオロギーも違う5人が「ダンス」を通じて違いを乗り越え、互いを大切な存在だと感じるようになっていきます。ダンスは「自由に自分自身を表現する」ということを象徴するもので、だからこそメンバーたちはタップダンスに夢中になるうちに本当の自分を発見し、相手のことも先入観を持たずに一人の人間として見ることができるようになったのだと思います。
それぞれが背負った属性を取り払って個人として接することができれば、どんなに立場が違っても、人と人の間にはお互いを大切に思う気持ちが生まれ得るのだと気づかされます。それを「愛」と表現してもいいでしょう。
日常生活でも、印象の良くなかった人に実際に会ってみたらそんな悪いやつじゃないかもと思うことってありますよね。全然知らない相手でも、ちょっと話しただけでその人の今日がいい日であってほしいと思ったり。個人と個人が関わり合うことで「相手を大切に思う」という意味での「愛」が生まれる。苦い現実に打ちのめされることもありますが、諦めずに人と関わり合い続ける。そうやって「愛」が広がっていく。
この世界が変わるには結局それしかないのではないかという気持ちになる作品です。