世界からお届け!SDGs通信 バルセロナ編。社員のメンタルケアに重きを置くスタートアップ〈Build38〉

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はバルセロナから!

text: Yuki Nakamori / edit: Hiroko Yabuki

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小さなスタートアップ企業でも社員の労働環境をケアできる好例

〈Build38〉はスマホのアプリのセキュリティを守るシステムをつくるスタートアップ企業である。ミュンヘンに本社を置く同社は2018年に設立された若い企業だが、ミュンヘン、シンガポール、バルセロナの世界3カ所に拠点を置き、現在社員数は40人。来年には100人になる予定だ。その成長の裏には、2021年から存在する Transformación y Talento(変化と才能)という部署が大きい支えとなっている。

よくある人事課とは異なり、社員の働きやすい環境を整える手助けにフォース。その積極的な企業理念により、スペイン政府より2022年にSFS賞(健康&フレキシブル&サステナブル企業に与えられる賞)を受賞している。

「一番の目標は優秀な人材を見つけ、会社に満足してできるだけ長い期間働いてもらうということ」と、Transformaciony Talento部のディレクターのCristina Serranoは語る。

基本的に仕事は世界のどこでも、時間もすべて自由。バルセロナのオフィスはコワーキングスペースを使用し、ハイブリッド式(週の半分をテレワークとオフィス出社)のスタイルの人が多数派。コワーキングスペースにはカウンセラーが常駐し、社員が相談できる場所にもなっている。テレワークを行う社員にはパソコン周りの用品とは別に年間150ユーロまで補助が出たり、コーチングや語学研修など社員教育に関しても社員につき、年間1,000ユーロまで予算を使う。

テレワークでは社員の管理は難しいとされるが、一人一人とその労働環境を尊重すればうまくいくという実例である。

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