Listen

Listen

聴く

知識がなくても音楽制作ができる?諭吉佳作/menが、好きな和音の見つけ方を指南

自分らしい 表現・発信をはじめる。言うまでもなく、文章や写真や動画などの制作物を世の中に発表することのハードルは、近年ますます下がっている。しかし、何をどう作ればいいか、迷うのは変わらない。時代に即した、表現活動のはじめ方を聞いた。

photo: Kazuharu Igarashi / text: Hikaru Hanaki

教えてくれた人:諭吉佳作/men(ミュージシャン)

iPhoneのアプリで
好きな和音を見つける

音楽制作をはじめるというと、ハードルが高く感じる方もいるかもしれない。しかし、2003年生まれのミュージシャン諭吉佳作/menさんが教えてくれたのは、思っていたよりもずっと軽やかなはじめ方だった。

「音楽を作りたいと思う人にはきっと、こういう音が良いなとか、こういうリズムが良いなっていうのがあると思うんです。まずはそれを、例えばGarageBandなどのスマホの音楽制作アプリに打ち込んでみてほしいです」

もともと、中学生の時に音楽制作にiPhoneを使いはじめたという。もっとも、これはそれほど珍しいことではない。
世界に目を向ければ、スティーヴ・レイシーというトラックメーカーは、iPhoneで作ったトラックでグラミー賞にノミネートまでされているのだ。

とはいえ、スマホのアプリで音楽を作る場合、いったい何から取り組めばいいのだろうか。

「まずは、鍵盤で音を組み合わせて、自分が気持ち良く感じる和音を見つけてみるといいかもしれません。音が3つだとシンプルに感じたら、4つくらいで。いろいろ試してみると面白いと思います」

例えば一番単純なCのコード「ド・ミ・ソ」を押さえてみると、安定感のある響きが得られる。これに1音足すと、その足した音によって、響きに浮遊感や緊張感が生まれ、より個性を持った響きになる。

まずは鍵盤で、気持ち良い和音を探す。

iPhone用 GarageBand
GarageBandでは縦軸に音階、横軸に時間が視覚的に表示されたピアノロールという画面に音を打ち込んでいく。3つの音を同時に鳴らしてみて、気持ち良く響いたらさらに音を足していく。

和音を決めたあとは。

また、具体的な操作方法を意識して学ぶことはなかったという。

「新しいゲームをはじめる時に、最初の説明ってあんまり読まないじゃないですか?それと同じで、操作はなんとなく触っているうちに覚えられると思います。わからないことが出てきたら、その都度ネットで調べるようにしていました」

最後に、諭吉佳作/menさんが心構えを教えてくれた。

「簡単なことからはじめて、まずは自分が満足するってことが大切だと思います。和音を打ち込むだけでも、この響きを自分が作ったんだという達成感はあると思いますよ」

ミュージシャン・諭吉佳作:men
打ち込み中の諭吉佳作/menさん。今でも曲を作る時は、ピアノで良さそうなコードを鳴らし、好きなリズムを打ち込むことからはじめることもあるという。