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多様な文化を取り込む韓国系デザイナーのウズベクブランド〈J.KIM〉

日本に来て来て、あの店、このサービス!今回はウズベキスタンの首都・タシケントの気になるサービスを紹介。

text&edit: Hiroko Yabuki

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3つのポイント

1.コリョサラム(旧ソ連域高麗人)文化がルーツ。
2.中央アジア全域の文化に着目。古布の再利用も。
3.雇用機会拡大を目指し地元の町工場と提携。

多様な文化を取り込む韓国系デザイナーのウズベクブランド

文化の多様性が謳われて久しいファッション業界。ひとたび欧米のメインストリーム外に目をやると、地域性に根ざしたユニークな作り手が数多く存在する。例えばウズベキスタンの首都・タシケントを拠点とする〈J.Kim〉。自らのルーツをコリョサラム(旧ソ連域の高麗人)と公言するデザイナーのジェニア・キムは、歴史あるモスクワ州立ストロガノフ芸術産業アカデミーで装飾・応用芸術を学び、2014年にブランドを設立。旧ソ連からの独立国やモンゴルなど中央アジア圏のクラフトに着目した服作りに情熱を捧げる。

「各地の独自性を表現することで、ともすると自分たちの文化の“根っこ”を見失いがちな人たちをインスパイアしたい。ただし彼らのデザインを記号として扱うのではなく、私なりの解釈として服に落とし込む方法で」とキム。

写真家Yosef Minorによるウランバートルのナラントール市場のビジュアル。

民族衣装を思わせる優美かつコンテンポラリーなシルエットや柄使い、大胆なカットワーク。コレクションはウィメンズを柱としながらもどこか中性的な雰囲気が漂う。古布をジャケットの中綿として使うなどリソース面の持続可能性にも目を配っている。

花モチーフをカットアウトしたシグネチャーの「Bale」シリーズは、信頼を置く縫製職人たちのなせる業。将来的には職業訓練機能も備えたラボ兼レジデンシーの創設も計画中。地元のクラフツマンの雇用を拡大し、知識を継承すること。描くビジョンは壮大だが、着実だ。

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