3つのポイント
1.フェラン・アドリア率いるエル・ブジ財団が監修。
2.食の歴史やイノベーションに関する展示内容。
3.往時のテーブルセットを再現。レシピ帳の公開も。
伝説のレストラン、エル・ブジがミュージアムとしてカムバック
ミシュラン3ツ星を獲得し、世界一予約が取れないレストランとして名を馳せた〈エル・ブジ〉。ファンに惜しまれつつ2011年夏に閉店したが、オーナーシェフであったフェラン・アドリアは、その後も食にまつわる講演会や本の執筆活動に邁進してきた。そして約10年かけて今年6月にオープンさせたのが、食のミュージアム〈elBulli1846〉だ。
バルセロナ市内から北東に車で2時間。4㎢の広大な敷地に佇む店を、一部改修し展示室として開放。〈エル・ブジ〉の歴史やレシピ開発にまつわる秘話、当時のキッチンの様子を捉えた動画を実際にキッチンがあった場所で放映するなど、ファンにはたまらない展示内容を視覚と聴覚で楽しむことができる。
また「知識を食べる」というコンセプトを掲げ、氏が収集した世界中の食の歴史に関する貴重な資料やアイテムも公開。自身が監修する料理の百科事典『BULLIPEDIA』(ブジペディア)の出版拠点でもあり、研究や発表を続ける財団本部としても機能している。
「なぜ料理に関しては歴史的書物が残っていないのか。これからも少しずつ情報を整理・蓄積し、将来的にみなさんの創造の助けになるというのが、私の長年の夢なのです」とアドリアは語る。開館は今年9月半ばでいったん一区切りとなり、来春パワーアップし再オープンする予定。スペインを旅する大きな目的になりそうだ。