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パリに誕生!19世紀の格納庫を一新した、広大な庭園を備えるカルチャーハブ〈アンガー イグレック〉

日本に来て来て、あの店、このサービス!今回はパリの気になるサービスを紹介。

photo: Manabu Matsunaga / text: Motoko Kuroki / edit: Hiroko Yabuki

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3つのポイント

1.1879年竣工の巨大な飛行船格納庫を改装。
2.航空関連の展示やカルチャーイベントを開催。
3.名作庭家ル・ノートル設計の庭園も見どころ。

19世紀の格納庫を一新!広大な庭園も備えたカルチャーハブ

パリ郊外、のどかなムードンの町。森を背に佇む大きな建造物が見えたら、それが〈アンガー イグレック〉だ。

1879年、王侯貴族の城の跡地にパリ万博の機械展示棟の一部を再利用して飛行船格納庫が建てられた。奥行き70m、高さ23mの空間は、第一次世界大戦中は飛行船や係留気球の製作所として、その後は航空博物館とその収蔵品保管庫として使用された。そして2023年、大規模リノベーションを経て文化施設として再生。天井から吊り下げられる飛行船は韓国出身の現代アーティスト、イ・ブルが建物の歴史にオマージュを捧げて制作したものだ。

パリ HANGAR Y 内部
建物正面は改装時に全面ガラス張りに。気球をイメージした円形のデザインが特徴的。

今、巨大な格納庫は、平日はヨガクラスやセミナーなどの催事に使われ、週末に一般公開されている。『空飛ぶ機械』展など、美術品と歴史資料で航空関連のテーマを語る展示も企画。気球製作といった過去を訪ねるVR体験も楽しい。例えば週末にダンス公演等カルチャーイベントが行われれば、高感度な人が集まる。

外に出ると、湖を擁した庭園が広がっている。1680年にルイ14世の御用庭師アンドレ・ル・ノートルが手がけたものだ。芝生の上には、アデル・アブデスメッドをはじめとする現代美術家のオブジェが点々と並ぶ。湖畔の散歩道を、屋外美術館のようにも楽しめるのだ。

科学と文化、そして歴史が交錯する場所。積み重ねられた時間が、現代のパリジャンたちの休日を彩る。

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