3つのポイント
1.生理の仕組みから貧困まで学ぶ場を提供する。
2.生理がモチーフのアートの展示や物販を展開。
3.下町の老家屋を再利用。ワークショップも。
メカニズムから貧困まで学ぶ
台湾では、日本と比較すると生理を話題にすることに対してオープンであり、女性の代わりにパートナーが生理用品を購入することもあるほど。しかしNPO法人〈小紅帽With Red〉代表・林薇によると「今でも大学生の6割は生理を恥ずかしいものと思っている」という。
そこで同団体により今年6月に創設されたのが〈小紅厝月經博物館〉。「生理は日常の出来事」という考えから、生活感のある下町の老家屋で生理の仕組みから月経前症候群、生理への偏見までパネルで説明。生理用品や生理教育の教材、生理や女性の体、ジェンダーをテーマにしたアート作品も展示する。
参観者の4割は男性で、1人で訪れる人も少なくない。「男性は知りたくても知る機会がないのです」と林。来館後には生理に対するイメージが変わり、「人類はみな母親の子宮から生まれる。生理もくしゃみと同じように自然現象として語るべきだ」と語った年配男性も。
生理教育の普及にも熱心で、自分たちが作成した教材を用いた講義のほか、学校教員にも指導方法をレクチャー。小学生の親子を対象としたワークショップも開催し、貧困が原因で生理用品を購入できない少女たちに生理用品を配布するなど、「生理の貧困」を解決するための取り組みにも積極的だ。生理について学び、語り合える場。偏見や意識を変える画期的な試みが、台北市民に浸透しつつあるといえるだろう。