3つのポイント
1.店主の故郷・淡水がモチーフのヘルシーな料理。
2.ドライニンジンなどユニークな素材の台湾茶を開発。
3.内装は「禅」をイメージ、グッドデザイン賞受賞。
創作ベジタリアン料理と
お茶でゆるりと
近年、台湾では郷土の歴史や文化を見つめ直す動きが盛んだ。ティーサロン〈之間 茶食器〉もその一例。台湾茶とベジタリアン料理で地域の特色を表現する試みで、地元の茶人や文化人に愛されている。店があるのは観光地としても賑わいを見せる台北近郊の淡水(タァンスェイ)。
店主の翁俊杰(オンジュンジエ)いわく「地域が誇る多様な文化や豊かな農産物をより深く知ってもらいたい」。翁はデザイナーとしてライフスタイルブランド〈The One〉など様々な文化事業を手がけた人物で、共同経営者の張譽瀛(ツァンユィイン)と共にユニークな料理を考案している。
例えば台湾の銘茶である包種茶にキンモクセイをまぶし、炒った米をのせたパイを添えた前菜。淡水が港町として台湾茶や米の交易で栄えた時代をイメージした。新商品の「マカイ茶」も人気。マカイとは医療や教育に貢献したカナダ人宣教師でニンジンやカリフラワーの種を台湾に持ち込んだとされる人物。台湾紅茶に乾燥ニンジンを加えたオリジナル茶にその名を冠した。食材や茶葉は自然農法栽培のものを地元の農家から仕入れている。
今年は淡水開港から160年を迎え、マカイの来台から150年という節目にもあたる。地元では様々な関連イベントが催されていて、〈之間 茶食器〉も秋に淡水河で船上茶会を催し、3年ぶりに一般参加者を募る予定だ。故郷への思いを独自の形で表現したティーサロンは、地方創生の好例としても注目を集めている。