メルボルンのレストラン〈ビッグ エッソ〉。オーストラリア先住民の食文化をモダンなセッティングで

日本に来て来て、あの店、このサービス!今回はオーストラリア、メルボルンの気になるお店を紹介。

photo: Karl Halliday / text: Mifune Obata / edit: Hiroko Yabuki

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3つのポイント

1.現代版のトレス海峡先住民料理を提供。
2.豪州原産素材の地ビールやカクテルが豊富。
3.野菜など土着の食材の流通促進を目指す。

先住民の食文化を
モダンなセッティングで

多民族国家として名高いオーストラリアだが、先住民であるアボリジナルや、豪州最北端のトレス海峡諸島民の食に触れる機会は、実のところかなり限られていた。トレス海峡諸島出身のシェフ、ノーニー・ベロは、そんな現状を打開するべく、2018年から地元原産の食材を使ったホットソースやオリジナルの調味料を販売。

そして昨年、生まれ故郷の先住民族の料理にフォーカスしたバースタイルのレストラン〈ビッグ エッソ〉を新たにオープンさせた。


「私たちの食文化を伝えながら、環境と社会に配慮したサプライチェーンを確立することが使命です」とノーニー。

それはつまり、高級食材として流通する土着のハーブや果物、多肉植物、スパイスなどの“ネイティブ素材”を使った料理を日常使いの店で提供することで、一般層にも広く普及させるという試みでもある。栄養価が高くスーパーフードとしても注目されているフィンガーライムや、持続可能な方法で獲れた地元産の魚介類を多用。トレス海峡エリアの料理には欠かせないキャッサバやヤムイモはヴィーガン料理に。地元産のワインやビール、国内産のハーブを使用したカクテルも豊富だ。

先住民由来の民芸品やアートが飾られた店内は南国ムード満点。まずは舌で味わって、文化の多様性と食の流通の公平性について考える。日本にもそんなスタイルの店があったら、きっと意義深いものになるに違いない。

オーストラリア〈Big Esso〉メインメニュー
多肉植物を散らしたパープルヤム(右、22豪ドル)、ライム風味のグァバピクルス(左、17豪ドル)。白身魚のココナッツミルクマリネ(23豪ドル)はタロイモチップスを添えて。

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