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ラガーマンとラテ、強く結びつくその共通点。ラグビー選手・姫野和樹とコーヒーの出会い

スペシャルティを“飲む”ことは当たり前の時代。いま、コーヒー好きたちは、淹(い)れながら一歩先の“沼”にはまっているもよう。仲間とのコーヒー談議に、ラテアート、自家焙煎まで。より深く楽しむ人たちのコーヒーライフ。

初出:BRUTUS No.1015「おいしいコーヒーのガイドブック。」(2024年9月2日発売)

photo: Atsushi Kondo / text: BRUTUS

「ラテに目覚めたのは2018年の日本代表に選ばれたのがきっかけです。代表メンバーに好きな人が多くて、稲垣(啓太)さんやリーチ(・マイケル)はすごい高いエスプレッソマシンを持ってるんですよ。代表チームにも専用のマシンがあって、海外遠征にも持っていく。朝、みんながラテを淹(い)れたり、練習が終わって他愛のない話をしながら飲んだりするカルチャーがある。そこで教えてもらったのがハマったきっかけですね」

ラグビー選手・姫野和樹
マイピッチャーでミルクを流す。微量の差で出来が変わってしまう繊細な工程。

ラグビー界では、強豪国であるニュージーランドやオーストラリアの選手や監督、スタッフが多く、オセアニアのコーヒー文化が自然と根づいているという。ゆえにドリップではなくエスプレッソドリンクからコーヒーにハマるラガーマンが多い。ほとんどの代表選手の自宅にはエスプレッソマシンがあるのだとか。

「すぐに自分も家庭用のマシンを買ったんです。それでしばらくやっていたんですけど、スチームのパワーとか、エスプレッソを抽出する気圧が弱くて、苦労しながら頑張ってラテアート作る、みたいなのをずっとやっていましたね。だからすごい変な癖がついちゃってたんです(笑)」

そんな時にコーヒーやラテに関する知識や技術を高めるきっかけになったのが、愛知県の日進市にある〈自家焙煎珈琲 豆楽〉の店主・福岡大介さんとの出会い。

「ヴェルブリッツのチームメイトに連れられてきて。ここで飲んだラテが、こんなおいしいコーヒーあるんか、ってくらいおいしかったんです。以来通い詰めてますね。もともと浅煎りも好きでしたけど、今はここのエスプレッソ インヴェルノという深煎りのブレンド一択です」

店に置いてあるマシンは、家庭用とは比べ物にならない性能の〈ヴィクトリア アルドゥイーノ〉の《EAGLE ONE 2Gr》。23年の年末には自宅にも同ブランドのマシン《EAGLE ONE PRIMA》を迎え入れてしまう。

「買ってからは、ラグビーのあと、ここで福岡さんにラテの指導をしてもらって、家に帰ってまた練習する、みたいな生活でした。軟らかくて軽い、艶のあるミルクですごいやりやすいんですけど、入りすぎちゃう時もあって加減が難しいですね。あと、電気をすごい使うんでよくブレーカーが落ちちゃうんですよ(笑)」

最近は、暑さもあり、アイスラテを飲むことが多いというが……。

「いまは完全になまっちゃってますね(笑)。うまくできないと悔しいです。でも秋からはまた気合入れてスワンの練習頑張ります!」

ラグビー選手・姫野和樹
ミルクを注ぐ前に、ガッと両脚を開いてしっかりとフォームを決める姫野さん。エスプレッソマシンの奥にはかつて店を訪れた際に撮った写真が飾られる。