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スペシャルティコーヒーの街・京都で訪れたいコーヒーショップ12選 〜後編〜

昔ながらの喫茶店は変わらず人気であり続ける一方、この10年ほどで、スタイルも様々に新たなスペシャルティコーヒーのショップが急増している京都。数あるお店の中でも今行くべきお店を紹介します。前編はこちら

photo: Yoshiko Watanabe / text: Mako Yamato

blend kyoto

御所南/OPEN:2021

東京の〈グリッチコーヒー〉〈リーブスコーヒー〉での経験を経て、地元・京都へ戻り独立した奥井大輝さん。住宅街に個性ある店が点在する御所南エリアに店を構えた。

2023年から始めた自家焙煎の浅煎りのシングルオリジンを揃え、オーダー時に飲み手が好みの2種を選びブレンドするスタイルが大きな特徴だ。とはいえ選択肢が多すぎると迷うからと、カウンターに並ぶのはその日ベストの6種類。

「フルーティさが際立つ豆の持ち味など、シングルオリジンの魅力を伝えながら、ブレンドの面白さも伝えたい」と奥井さん。今秋には大原・三千院前に新店舗を開き、自家焙煎やブレンドの追求を行うという。さらなる進化に期待が膨らむ。

〈blend kyoto〉外観
ブレンドで引き出される個性が面白いと奥井さん。

PEAR PRESS

北山/OPEN:2023

〈ベーカリーウキ〉のパンを使った正統派モーニングから、シュークリームなど甘いものまでが揃うメニュー。大きな窓の向こうには豊かな庭の緑。伝統工芸やアートなど興味を掻(か)き立てる選書。

近くに住む人が羨ましくなる住宅街のこのカフェ〈ペアプレス〉は、河原町丸太町で浅煎りコーヒーを提案するスタンド〈スタイル コーヒー〉の2号店。狙いは「間口は広く、深みのある店」だと店舗責任者の永井知里さんは言う。

気づかなければ心地のよいカフェとして、意識すればケニアやホンジュラス、ルワンダなどその時々で6種類が用意されたスペシャルティを味わう専門店として。2つの顔を持ち、どんなニーズにも応えてくれる懐の深さが魅力。

〈PEAR PRESS〉店内
使用する豆はすべて自家焙煎のスペシャルティ。

小川珈琲 堺町錦店

堺町錦/OPEN:2022

昭和27(1952)年からコーヒー文化を発信し続けてきた老舗。長年取り組んできたサステイナブルな活動を体験してもらうための場として開いたのが〈小川珈琲 堺町錦店〉だ。

築100年以上の京町家をモダンに改装し、あえて看板は付けないことに「誰かの日々に溶け込んだ存在でありたい」という思いを込めた。コーヒーはぐっと絞り込み、2種類のハウスブレンドと、それぞれダークとミディアムを揃えたインドネシアなど3つの産地の豆の8種類。

喫茶文化の原点を見直したネルドリップで提供する。ハンドドリップに加え、スイス〈TONE〉のコーヒーメーカーでネルドリップするなど、新たな挑戦にも老舗の心意気を感じる。

〈小川珈琲 堺町錦店〉店内
所属するバリスタたちにとってもネルドリップはチャレンジになったという。店内にはパン工房も併設し、京都産小麦を使った食パンを焼き上げている。

BLUE BOTTLE STUDIO -KYOTO-

南禅寺/OPEN:2023

2002年にアメリカ・オークランドで誕生した〈ブルーボトルコーヒー〉。世界で100店舗以上あるなかで、唯一〈京都カフェ はなれ〉で展開するのが、創業者ジェームス・フリーマンの考える最高のコーヒー体験だ。

コーヒーの葉・花・果実を使ったオリジナルドリンクから始まり、独自の浸漬式の抽出方法で味わう3種類の稀少なシングルオリジンの豆、さらに喫茶文化をリスペクトする一杯へと続く。パティシエユニット〈タンジェント〉による2種類の菓子とともに、コーヒーの歴史や成り立ちを再解釈した世界観に浸りたい。

〈BLUE BOTTLE STUDIO-KYOTO-〉店内
特別感のある5席だけのカウンター。ネルドリップではたっぷりの豆を使って濃厚なコーヒーを抽出する。

北大路焙煎室

北大路/OPEN:2022

「輝く一滴のコーヒーをテーマに、原石のような豆を見つけ輝かせたい。そのためのラボのような場所を作りたかった。お客さんも一緒に実験する気持ちで、好みの味を見つけてもらえたら」と焙煎士でもあるマネージャーの糊田悠さん。

スタッフはワークコートを身に纏(まと)い、ハタノワタルの和紙に彩られつつも無機質な空間は、まさに実験室のよう。セレクトする豆は中国雲南省〈天空農園〉など。

「コーヒーという果実の甘味や酸味が感じられる浅煎りと中煎りを中心に、苦味とは異なる豆の持つ甘さを最大限に引き出す深煎りまで」10種類ほどを揃える。ハンドドリップに加え、豆の個性をより際立たせるエアロプレスも用意されている。

〈北大路焙煎室〉店内
焙煎機はローリング。

Okaffe★ROASTING PARK

五条若宮/OPEN:2022

〈小川珈琲〉時代にバリスタ日本チャンピオンとなり活躍。2016年に独立して〈オカフェ キョウト〉を開いた岡田章宏さん。22年に作った〈オカフェ ロースティングパーク〉は材木店の一角を改装した焙煎所だ。

「パークと名づけたのは、集まった人々を笑顔にする公園のような場にしたくて」と広々とした客席も併設した。大会で勝つためスペシャルティを使いこなしてきた岡田さんだけに、その魅力を熟知しつつも、ブレンドにはあえてスペシャルティは使わない。

「シンプルに深煎りブレンドが好きな人も多いから、選べる状態を提供することこそが、お客さんへの優しさでは」。1つの店に2つのスタイルが共存する、京都のシーンの縮図のような一軒である。

〈Okaffe★ROASTING PARK〉店内
「ここではブレンドに加え、4〜5種類ほどのスペシャルティを用意しています」と岡田さん。

京都はなぜ、スペシャルティコーヒーの街にもなったのか