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世界からお届け!SDGs通信 ストックホルム編。地球や社会に貢献しながら、オフグリッドな宿泊を

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はストックホルムから!

text: Miki Osako / edit: Hiroko Yabuki

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湖に浮かぶサステナブルな宿で、エココンシャスなホリデーを

国際的な調査によって、世界で最も持続可能な観光地としてトップに選ばれているスウェーデン。世界の66%の人が将来的にはサステナブルな旅を望んでいるという統計もある中、注目を集めているのが、豊かな自然体験を楽しみながら、電気や水を自給するオフグリッドな宿泊施設だ。

スウェーデン南西部の森深く、Foxen湖上に浮かぶイグルーの形をした建物〈Yggdrasil Igloo Water Huts〉は、自然にふれあいながら持続可能な滞在が体験できる宿として人気を集めている。湖と森の美しい景色をパノラマで満喫できるイグルー形の宿は、太陽光による自家発電とバイオ燃料からすべての電力をまかない、トイレは微生物の力で排泄物を分解するコンポスト式。さらにキッチンでは近隣の地下水を使用し、廃水はコンテナに集められ、承認を受けたカーボンフィルターの浄化槽できれいにされてから自然に放たれるシステム。自然界に害のあるものは一切排出しないというこだわりぶりだ。

冬の間は湖の水面が凍結するため、宿は凍った湖上に浮かぶ形になり、非日常が体験できるのも魅力の一つ。エネルギー効率のいい断熱材や断熱ガラスを使用し、リサイクル素材の低消費型ヒーターを導入しているため、室内は18度から25度に保たれ真冬でも快適に過ごせるという。冬はカントリースキーやアイススケート、夏はボートに乗ったり泳いだり、ハイキング、釣り、地元の食材でバーベキューといったアクティビティを堪能することができ、ゲストからは素晴らしい大自然の中で貴重な時間を過ごすことができると好評なのだとか。

パンデミックの影響もあり、新たな旅の形である「自然を楽しみながら環境に配慮した滞在」を望む人が増えている。未来につながるエココンシャスな宿泊施設の人気は、今後も上昇するといわれている。

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