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世界からお届け!SDGs通信 台北編。シリア難民の子どもたちのために学校を設立

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回は台北から!

text: Mari Katakura / edit: Hiroko Yabuki

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台湾最大の仏教系慈善団体によるシリア難民の子どもたちへの教育サポート

台湾の仏教系慈善団体〈慈濟基金會〉は、シリア難民が多く暮らすトルコで2015年に〈滿納海國際學校〉(滿納海は「砂漠の中の泉」の意味)を設立。難民の子どもたちの多くが物乞いをしたり、安価な給料のもと工場で働かされたりしているのを目の当たりにしたことから教育支援が始まった。学生だけでなく、保護者への生活面や医療面のケアも行っており、「教育だけが未来への唯一の希望です」と説得しながら通学を促している。

ここでは小学生から高校生までが学び、卒業生の約4分の1は大学に進学。2022年からは国際競争力を育むべく、ビジネスや就職に役立つようにと、世界で使用人口が最も多い中国語の教育をスタート。国立台湾師範大学と連携し、オンライン授業を実施している。

こうした熱心な教育活動により、子どもの側にも変化が生まれ、地震や台風など、自然災害が発生した際には自主的に募金をしているという。また2023年2月のトルコ大地震の際には、卒業生たちが支援活動を行い、現場で被災者と抱き合う光景が見られた。

「子どもたちの中にある憎しみの心をなくしたいと願って教育をした結果、大きな愛が芽生えていたのです」とスタッフは語る。助けられる側だった難民が助ける側になることで、彼ら自身の生きる力にも繋がっていく。

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