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世界からお届け!SDGs通信 台北編。住居の格差是正のため、政府が公営住宅を建設

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回は台北から!

text: Mari Katakura / edit: Hiroko Yabukie

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適正価格と居住性を重視した、公営住宅「社會住宅」の拡充

市部は不動産価格が高騰する一方、賃金は上がりにくく、マンション購入は高嶺の花となっている。そこで台湾政府は「住居の格差」を是正するべく、社会的弱者や若者でも快適に暮らせる公営住宅「社會住宅」を2016年から建設。現在、台北市では2万戸あまり建設する予定で、すでに6120戶が入居済みとなっている。

居住性を高めるため、建物の美観や日当たりにもこだわりがあり、電気やガス、水道にはスマートメーターを採用。耐震構造やバリアフリー設備も整えられ、託児所や幼稚園、介護施設も併設している。さらに屋上にはソーラーパネルを設置し、環境にも配慮。屋上には菜園があり、収穫された野菜を共同キッチンで調理してシェアできるようになっている。

入居期間は最大6年となっているが、台北市都市發展局(トゥースーファーツァンチュィ)では住民が地域に根付けるよう、「青年創新回饋計畫」というプログラムを実施している。地域コミュニティに深く関わりたいと願う入居希望者を対象に、イベントの企画を発案させ、審査の結果、入居させるという流れもつくっている(特典として高倍率な入居抽選が免除となる)。具体的には親子イベントや運動会、ヨガ、料理教室のほか、法律や医療に関する講座などが開かれ、住民同士が交流を深めている。

ハード面でもソフト面でも質の向上を図る台湾の「社會住宅」。その取り組みは建築界やデザイン界からも注目され、高い評価を得ている。

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