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世界からお届け!SDGs通信 台北編。僻地に暮らす子どもをオンラインでサポート!

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE?  CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回は台北から!

text: Mari Katakura / edit: Hiroko Yabuki

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僻地に暮らす子どもを遠隔サポート!
教育部が推進する「數位學伴計畫」

台湾では政府主導でデジタル技術を駆使した教育の平等化が推進されている。教育部(文部科学省に相当)によれば、僻地の集落では一人親、または祖父母が子どもの世話をしている家庭が多く、学習サポートが行き届かないことが少なくないという。

こうした問題を解決するため、2006年に「數位學伴計畫」というプロジェクトが始まった。これはオンラインでボランティアの大学生や専門学校生が小学3年生以上と中学生を対象に「一対一」で勉強を教えるというもの。大学生たちは事前に12時間の訓練を受け、具体的な教授方法のほか、子どもたちへの寄り添い方なども学ぶ。授業では「因材網數位學習平臺(インツァイワンスーウェイシュエシーピンタイ)」や「教育雲(チアオユィユン)」など、教育部が制作した教材を使用し、英語や国語、数学、社会、自然科学などを教えている。

2022年に国立高雄大学が学習効果を分析したところ、「10週間にわたり数学のオンライン学習を受けた生徒は理解度が平均約16%アップした」という結果が出ている。大学生たちは学習指導だけではなく、日々の出来事や悩みなども聴き、心の支えにもなっている。さらに年に一度は対面して交流する場も設けられている。 

子どもの学習意欲や自信を向上させる一方、大学生たちの僻地教育への関心や社会的責任に対する意識を高める効果もあり、教育格差の解消だけでなく、未来を担う若者たちにとっても意義のある取り組みとなっている。

數位學伴計畫(スーウェイシュエバンチーホワ)

教育部が主宰し、輔仁大学が運営するプロジェクト。2022年度は台湾全土の25の大学や専門学校の約2600名の学生が携わり、1582名の小中学生が参加。
HP:https://etutor.moe.gov.tw/etutor/(中国語)

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