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世界からお届け!SDGs通信 バルセロナ編。海底のプラスチックごみや釣り網が水着に早変わり

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はバルセロナから!

text: Yuki Nakamori / edit: Hiroko Yabuki

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海洋ゴミから生まれた水着で環境保全のメッセージも伝える

〈SWIM AGAINST〉は、海底のプラスチックごみや釣り網を再利用して水着やサーフィンなどのスポーツウェアを作るバルセロナ発のブランドだ。ローンチは2016年で、翌2017年にファーストコレクション「FUKUSHIMA」を発表。以後「より少なく買おう、もっと良いものを買おう」をスローガンに、ワンシーズンだけでなく、長く使える高品質な水着を提供している。

ブランド名は、環境破壊へ警鐘を鳴らすという意味が込められている。起業当初より環境問題に挑むことをテーマに掲げており、その一例としてフラッキング(水圧破砕法)により原油や天然ガスを掘削する企業が引き起こした干ばつの地面の模様や、廃棄プラスチックの山、車の渋滞の写真などを水着の柄として取り入れているのだ。その根底には身体を使い、着用する人たちそれぞれが環境問題を訴えることができるようにと考えられたものだ。水着はリバーシブルになっており、裏側はシンプルな無地。バリエーションも楽しむことができる。

素材には使用済みのペットボトルから作られたポリエステルや、ナイロン製の釣り網から作られたナイロン樹脂ポリアミドなどを使用する。またブランド創業者のアメリア・セラーノ・ボンビラが大切にしているのは、何よりも着心地の良さ。地元バルセロナの刑務所など社会更生プログラムの工場にて、全てハンドメイドで丁寧に作られている。「〈SWIM AGAINST〉の水着を選ぶことが、海をきれいにする手助けとなります。またローカル製品の消費は、ガスやエネルギーといった、貪欲な経済システムの産物である公害へとつながる消費も抑えることにもなる。長く同じ水着を着ることは、結果として非常に環境に優しい行為でもあるのです」。

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