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世界からお届け!SDGs通信 ソウル編。政府による手厚い補償教育

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE?  CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はソウルから!

text: Reiko Fujita / edit: Hiroko Yabuki

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教育格差を解消へ
政府の手厚い補償教育

教育熱が高いことで知られる韓国。塾や家庭教師などの学校外教育に多額の費用がかかるため、親の経済力が子どもの学力に影響を及ぼし、社会の二極化が進んでいることが問題視されてきた。

こうした教育格差を解消すべく、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領は、2021年から「高校無償化」を全面施行。義務教育期間である小中学校、2013年に無償化された保育園に続き、高校生も無償教育を受けられることになった。一部の私立高校や芸術高校、外国語高校などの特殊目的高校は無償化対象外だが、政府の「教育給付金」制度を利用すれば、入学金・授業料・教科書代が全額支援される。

「教育給付金」の申請対象となるのは、国民基礎生活保障(※日本の生活保護制度に該当)の受給者。入学金や授業料の他に、年1回、教育活動支援費(2022年度は小学生33万1000ウォン、中学生46万6000ウォン、高校生55万4000ウォン)および、学習支援費として10万ウォンが支給される。

この他に、ひとり親家庭や準要保護世帯も申請が可能な「教育費」という支援も。受給者には、学校給食費をはじめ、学童保育や教育放送オンライン講座の利用料、パソコン・インターネット通信費などが支給される。

さらに、韓国教育部は障がい者の教育機会を保障する取り組みを実施。“障がい者進路メンター団”によるオンライン進路相談サービスは、障がいのある中学・高校生を対象とした情報提供の場だ。さまざまな業界で働く障がい者メンターが自身の経験をもとに進学や就業の悩みに答え、将来の夢をサポートしている。

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