今も世界のファッションブランドを支える、環境に優しい紡績業者〈RICO CHINA〉は香港発祥
金融やサービス業のイメージが強い香港だが、1950年代からしばらくは紡績産業が産業の中心だった。その後、人件費や不動産価格の高騰で紡績産業は衰退し、ほとんどの工場は中国本土などの香港外に移転していった。
しかし30年以上、欧米の最高級ブランドの厳しい要望に応えた布地を提供してきた知識と経験を持つ繊維企業が香港には残っている。今も毎月800万mの布地を生産する香港企業〈Eastco〉の子会社として、環境に優しいファブリックの開発製造を行っている2005年創業の〈RICO CHINA〉がその筆頭だ。
本社は香港、研究開発や営業はイタリア、そして工場設備は中国という国際企業。中国に設置された最先端工場は、有害物質不使用、化学薬品の厳密管理、持続可能な水使用などを徹底した世界基準を誇り、染色やプリント、生産を行っている。
なかでもリサイクルコットン、オーガニックコットンのほか、リサイクルポリエステルやリサイクルナイロンを数多く手がけている。これらの素材は、欧米ブランドのアパレル製品となって再び日本や香港で流通し、私たちも知らず知らずのうちに袖を通しているかもしれない。