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世界からお届け!SDGs通信 バンコク編。廃棄オレンジの再利用を模索し生まれたオードヴィー

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はバンコクから!

text: Chinami Hirahara / edit: Hiroko Yabuki

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朝のオレンジ園のフレッシュな空気感を、そのまま閉じ込めたような爽やかな味わい!

少しでも傷があったり形がいびつだったり、味は変わらないのに出荷できず廃棄せざるを得ない。そんな問題に頭を悩ませている農家は多い。そんな中、廃棄フルーツを使ってアルコール飲料をつくっているユニークな農園がある。標高1000~1200mの山岳地帯にある北タイのチェンマイ県メーアイ地区でオレンジを栽培している農場〈raiyoddoy〉だ。

農園の55%を占めるという甘みと酸味のバランスがいい「サイナムプン」。本来酸味が強いが十分に養分が行き渡るように剪定した結果甘みがアップした「ロイヤル・フリーモント」。一般的なものより皮が薄くなるように開発した甘さが際立つ「ハニー・オーシャン」。それぞれの季節に合った3品種を栽培している。

年間約90万kgが収穫されるが厳しい出荷基準を設けている同園では、大きさ、傷アリなどどうしても基準に満たない品質のオレンジが出てしまう。不揃い品として販売する他、フリーズドライやワインに挑戦したり、あらゆる試行錯誤を経て生まれたのが発酵と再蒸留によって生成されるオードヴィー。

「新鮮な果汁を使って5年、10年と熟成させますが、澄んだ色、ふわっと香るオレンジの香り、なめらかな味わいが特徴です。飲むと日の出のオレンジ園を散歩しているようなさわやかな気分になるので〈O' Sunshine〉と名付けました」とオーナー。

1瓶700ml(890B)に対し約11~12kgのオレンジが使用され、香料は一切使用しない。ソーダなどで割ったり、チョコレートと合わせたり、グリル料理の風味付けやお菓子作りに使ったりと使い道は広い。現在、タイ各地のスーパーマーケットの他、直接農場からオンライン注文することも可能だ。

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