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世界からお届け!SDGs通信 ウェリントン編。新たに来る難民を、元難民がサポート

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はウェリントンから!

text: Mari Clothier / edit: Hiroko Yabuki

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難民が抱える辛い経験を理解する、元難民だからこその手厚いサポート

ニュージーランド政府の難民再定住プログラムは、平たく言うとうまく進んでいない。難民が経済的困難を経験する事態も発生し、それが彼らの出身国での辛い経験の上にさらにのしかかる。難民支援団体〈NFACT〉は、そんな難民のメンタル面のサポートに重きを置いている。

団体の構成員は元難民。新たに来る難民を母国語で助け、文化を理解し、精神的負担の軽減に努める。難民支援団体ではあまり見られないカウンセリングスタッフも、2人常駐している。

一般的な定住のためのサポートはもちろん、家族内のストレスを減らし、レジリエンスを身につけるプログラムや、若い世代がニュージーランドでポテンシャルを最大限発揮できるよう工夫されたイベントの開催。さらには難民同士が悩みを打ち明けたり、学んだことを共有したりするためのコミュニティグループの設立など、元難民ならではの視点を生かしたサポートを展開している。

〈NFACT〉のクリエイティブ部門では、難民の中でも特に弱い立場にある女性向けに、マイクロ・エンタープライズ(零細企業)を始めるための指導を行う。出身国で身につけた手工芸などのスキルを用いた製品を制作・販売し、利益を得て独り立ちできるところまで支援する。

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