公共交通機関で試みる〈モビア〉のSDGsな取り組み
自動車メーカーを持たないデンマークは輸入頼りだが、2023年は新車のうち20万台がEV車で、前年より10%の増加だった。これは2030年にEV車普及100万台を目標に掲げる政府の後押しも功をなしている。とはいってもコペンハーゲン中心部はCO2削減のため、駐車料金が高額だから、通勤通学には自転車や公共交通機関の利用者が多い。
そんな中、特に存在感を示しているのがグリーンモビリティカンパニー〈モビア(Movia)〉が運営する黄色いバスだ。2023年2月現在、市内におけるEV車の占める割合は41%だが、2030年までには、市内と近郊を走る1300台のバスすべてが化石燃料を使わず、少なくとも半分は電気で動くようになるという。これはSDGsの17のゴール(目標)の13「気候変動に具体的な対策を」に該当する。ほかにも利用者が多い区間を走る2台連結タイプ、ベビーカーや車椅子、さらには時間帯によっては自転車も積める車内が広いタイプなどもあり、使い勝手がよい。
「デンマークは天候が変わりやすいので、自転車と公共交通機関が組み合わせられると心強いですよね。道路の渋滞やCO2排出量も減り、健康にもいいんです」と、モビア取締役会会長のキエステン・イェンセン氏。移動手段にすぎないバスもEV車なら音が静かだから、ちょっとしたリラックスタイムになる。SDGsのゴール11「住み続けられるまちづくりを」にも貢献していると言えるだろう。