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世界からお届け!SDGs通信 メキシコシティ編。持続可能な住居のために土を圧縮したブロックを開発

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はメキシコシティから!

text: Miho Nagaya / edit: Hiroko Yabuki / photo: ÉCHALE

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すべての人々に手が届き、より良い住まいを目指す持続可能なプロジェクト〈ÉCHALE〉

メキシコでは約940万世帯が経済的理由で満足できる家に住んでいない。特に辺地のコミュニティで、その問題は深刻だ。建築業の機械製造販売を行っていたフランセスコ・ピアツェッシは、立派な家を作る職人の多くが、自らはトタン作りの粗末な家に暮らし、土の床に寝転がっている矛盾を知り、その不公平な現状を変えるために1997年にプロジェクト、ÉCHALEをNGOとして始動した。住宅建材として土を圧縮して作る〈エコブロック〉を開発。保温性と防音性があり、コンクリート同様の耐久性を持つブロックの製造を、コミュニティの人々が現地の土を使って手掛け、自らが家を建設し、その労働賃金も受け取る循環型モデルを考案する。

これまでに国内の25万世帯の住宅問題を解決し、ニカラグアやハイチなどを含む内外のハリケーンや地震の被災地の住宅建設や、ウガンダのカンパラで、メキシコ同様のプログラムを実践。2022年に国連の人間居住計画会議でも評価され、ラテンアメリカを代表するSDGs組織としてSistema Bにも登録されている。「貧困と不平等は密接に絡み合った問題であり、それは国だけでなく人類全体を傷つける。この持続可能な自己建設のモデルを世界に広げるのが目標だ」とピアツェッシ。そのコミュニティに国境はないのだ。

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