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世界からお届け!SDGs通信 パリ編。フードロスをなくし、必要とする人に食べ物を届けるフリーアクセス冷蔵庫

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はパリから!

text: Motoko Kuroki / edit: Yuriko Kobayashi

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余った食べ物を“シェア”する取り組み「フリーゴ・ソリデール」

2021年のフランスにおける食品廃棄物は約880万トン。そのうち47%が家庭ごみだという。毎年1人につき60kgの食品廃棄物が生まれているという計算になる(*1)。一方、37%のフランス人が健康的な食事を十分に摂れていないとするデータも報告されている(*2)。

これらの問題にアプローチするには、余剰をシェアして供給にまわす仕組みが有効だ。「フリーゴ・ソリデール(連帯冷蔵庫)」はまさにそのサイクルを実現。小さな冷蔵庫をレストランの前などに置き、売れ残りや、家庭で余った食材を入れられるようにする。そして、誰でも中身を取っていっていい。手続きや登録は不要だ。2017年にドゥーニア・メブトゥルがパリで立ち上げ、2024年現在、全国でおよそ160基の冷蔵庫を設置。約3000人がその恩恵を受けているという。

2024年6月には、保険組合「イデンティテ・ミュチュエル」の協力のもと、マルセイユのルーエ地区公民館前に冷蔵庫をセッティング。地域の小学生たちがセレモニーに参加した。この冷蔵庫の場合は、平日の午前8時から午後6時までフリーアクセス。個人、団体、小売業者などが食品を持ち込むことができる。(家庭料理や開封済み製品、アルコール類を除く。生肉や生魚も推奨されない)。

もちろん、ただ冷蔵庫を置くだけでは不十分なこともあり、実際には需要が供給を上回る地区も多い。「フリーゴ・ソリデール」は設置場所の責任者と定期的に連絡を取り、フライヤーの配布などで地域の意識を高める取り組みを続けている。

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