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世界からお届け!SDGs通信 ヘルシンキ編。人気カフェ〈Ipi Kulmakuppila〉が行う労働支援

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はヘルシンキから!

text: Eri Shimatsuka / edit: Hiroko Yabuki

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特別支援が必要な人たちが社会に出るための第一歩となる場所を提供する、街自慢のカフェ

若者に人気のカッリオ地区には、自然光がふりそそぐ、美しいガラス張りのカフェ〈Ipi Kulmakuppila〉がある。同店は特別支援の財団により創立され、特別支援が必要な人々や福祉や療法士などになるための勉強をしている学生たちがインターンとして働いている。

主に研修先として機能していて、社会に出る前のはじめの一歩の場を提供している。研修生のやりたいという意志を一番大事にしていて、スーパーバイザーと相談しながら、無理せずできることから始める。ここで働くことで、自分のできることに集中し、小さな成功を繰り返し、働くことの楽しさを味わう。そういった経験が、彼らの自信につながるのだという。さらには将来、特別支援の仕事に携わる学生たちの研修の場でもある上、ヘルシンキ近郊の特別支援学校やNPOと協力し合い、できる限り特別支援の必要な人々が作った食品やサービスを取り入れている。

2020年からは月替わりの展覧会も主催しており、希望があればオープニングイベントも開催。収益は全てアーティストに還元されるシステムで、特別な支援が必要なアーティストが活躍できる場を提供している。

店は人々が活発に行き交う町の真ん中。ガラス張りのオープンな空間を設けたのは、ここで働く人々のスキルを、カフェに来る人や町の人にも見てもらいたいという意図がある。働く人にもカスタマーにも気持ちのよい環境づくりを心がけていて、家具も持続可能な質の良いものを取り入れている。人気メニューは、手作りのジャムとグラノーラが添えられたオーガニックのオートミールの朝食。コーヒー、搾りたてのフレッシュオレンジジュースが付く。ランチのサラダのほか、不定期で届けられる施設で作られたシナモンロールは不動の人気を誇る。いたるところに真心と優しさが感じられる、ヘルシンキ市民の自慢のカフェなのだ。

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