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世界からお届け!SDGs通信 メルボルン編。シンガーソングライター、エライザ・ハルの障がい者支援

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はメルボルンから!

text: Mifumi Obata / edit: Hiroko Yabuki

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音楽業界をアクセシブルに変えるために、さまざまなアプローチからサポート

エライザ・ハルはメルボルンを拠点に活動するシンガーソングライター。音楽活動に加え、国際障がい者デーの大使を務め、音楽業界における障がい者支援、メンタルヘルスの啓発やLGBTQ+コミュニティのサポートなど、さまざまな社会貢献活動を行っていることでも知られている。

シャルコー・マリー・トゥース病と呼ばれる難病(末梢神経障害による筋力・感覚低下を伴う障がい)を幼い頃から患って生きてきた彼女が、堂々と障がい者であることを認め始めたのはここ数年のこと。自身も物理的な障壁や差別を多く受けてきたというが、それらを隠さずに公表することで音楽業界を変えたいという思いから、積極的に意見を発信し始めた。

パンデミックの影響で大きな打撃を受けたオーストラリアの音楽シーンを支えた、オンライン音楽フェス「Isol-Aid」の一環として行われたイベント「Accessible all Areas」ではキュレーターを務め、世界各地の障がいのあるミュージシャンをフィーチャーした。音楽を愛するすべての人にとってアクセシブルであることを目指し、手話通訳や字幕、副音声解説を導入。コロナ禍がもたらしたオンライン配信は、アーティスト支援のほか、新しい音楽の発見にも繋がり、新たなプラットフォームとして大きな支持を得た。より多くの障がいのある人々が音楽を楽しめる重要な一歩になったのだ。

実にオーストラリア人の6人に1人は、何らかの障がいがあると言われている。エライザが推進しているこれらのアプローチは決して難しいことではない。むしろ、私たちが一緒に推し進めるべき変化なのである。

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