シンガポールが沈んでしまう!?南極体験から、意識に変化が芽生えた
シンガーソングライターのインチ・チュアが、環境保護推進の声をひときわ大きくあげたのは、2019年のこと。気候変動をテーマにした楽曲『Til The End Of The World, We’ll Meet In No Man’s Land』を発表したのだ。
この前年、彼女はNGOの遠征隊員として南極を訪れた。そこで見たのは、気候変動によって失われつつある氷の大地。同地の氷が溶けて海面上昇が起きると、母国は水没してしまうのでは。こう危惧した彼女は、帰国後、自身の体験をもとに楽曲を制作。
「実は私が氷の大地を見学したとき、乗っていたボートの軽油の臭いを強く感じたの。地球環境の真実を知るために訪れたはずなのに、そもそも私たちはここにいるべきではないという矛盾というか、皮肉のようなものを痛感したわ。こういった南極で感じたことを全て伝えたいと、歌に想いを込めたの」
同曲の発表で大きな注目を浴びたインチは、2021年にはファッションブランド〈Akinn〉とともにサステナブルファッションのコレクションを発表するなど、活躍の幅を広げている。
「サステナブルであることは、生活のあらゆる部分に浸透させる必要があると思うの。着るもの、食べるもの、いろんな角度から取り組むべきよね。ただ、今は『グリーンであること』がトレンドになっていて、SDGsに対して価値があるものとそうでないものが混ざり合っているように感じていて……」
本当に意味のあるモノ・行動なのかを社会全体で検討し、再評価する必要がある、と話すインチに、シンガーソングライターとして、自身は今後どのように環境問題の改善に貢献していきたいかと尋ねてみた。
「芸術はインスピレーションを与え、注目を集めることができる。だからやっぱり、歌に願いを託したいわ」。人々が「未来は変えられる」と希望を抱くことができるような曲を作り、歌い続けている。