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世界からお届け!SDGs通信 香港編。香港最後の専門店が作る、香りも優しい竹製の蒸籠

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回は香港から!

text: Miyako Kai / edit: Hiroko Yabuki

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香港最後の専門店〈徳昌森記蒸籠〉が作る
しなやかで丈夫、香りも優しい竹製の蒸籠

成木になるまで、通常の木であれば数十年かかるが、竹の場合はたった3年。多量の二酸化炭素を吸収し、伐採しても切り株から再び急激に成長するので植え替えも不要。さらに肥料や農薬なども必要がない強靱さで、サステナブルな自然素材の代表格となっている。

香港では、サステナビリティが語られるようになるずっと前から、竹を使った製品が日々の生活で重要な役割を果たしてきた。その一つが主に点心を蒸すために使われる蒸籠(セイロ)だ。

現在、香港で使用されている蒸籠のほとんどがはるかに低価格の中国製。地元の職人は減り続け、西営盤にある〈徳昌森記蒸籠〉一軒のみになってしまった。「最近では、オーストラリアやアメリカへの輸出が中心になっている」と5代目店主の林植鴻(ラム・ジクホン)さん。中国の広州で100年以上前に創業し、香港に移って70年以上の歴史を持つ老舗だ。

〈徳昌森記〉では、原材料の竹は中国から輸入しており、もっとも蒸籠に向いているしなやかで表面が滑らかな上海産の竹を使った、すべてハンドメイドの高級蒸籠と、品質がやや落ちる広州産の竹を使ったマシンメイドの廉価版の2種類を販売している。

素材としてサステナブルなだけでなく、毎日の高温での使用に耐えるほど頑丈で、竹の調理器具を使って調理すると、優しい香りが料理に加わるのも、プラスチックやスチールには真似できない、竹ならではの魅力になっている。

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