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世界からお届け!SDGs通信 バンコク編。山岳民族の生活環境を支援する社会的ブランド「DOITUNG」

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はバンコクから!

text: Chinami Hirahara / edit: Hiroko Yabuki

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山岳民族たちの生活環境を改善・支援!
王室主導の「DOITUNG」プロジェクト

タイ北部など山岳地帯に住む麻薬栽培に依存する山岳民族たちの生活環境改善のため、ラーマ9世・プミポン前国王によって1950年代初頭からスタートした「ロイヤルプロジェクト」。その中で、同様の意思によってシーナカリン王太后が設立した「メーファールアン財団」が手掛ける「DOITUNG」プロジェクトは、タイを牽引する持続可能な活動として世界的にも高い評価を受けている。

ミャンマー、ラオスと国境を接するタイ北部・チェンライのドイトゥン地域。かつてゴールデントライアングルと呼ばれたこの辺りは、1940年代の中国内戦を逃れて移り住んできた山岳民族たちが、唯一貧困から逃れられる換金作物としてアヘンの原料となるケシを栽培していた。市民権もなく教育も受けていない彼らは、生活のために森林伐採を行い、ケシを育て、麻薬密売や売春などに手を染めざるを得ない環境だったのだという。

そんな劣悪な環境を改善・支援するため、1988年に発足したドイトゥン開発プロジェクト。「人と森が確実かつ継続的に共存していくこと」を目的にケシ栽培からコーヒー栽培やマカデミアナッツ栽培へと転作を支援。そして、「DOITUNG」ブランドの元、農業・手工芸品・加工食品・カフェ・観光と、5つの社会的活動を通じて、地域の人々に安定した収入をもたらし生活を豊かにすることに成功している。ドイトゥン地域で山岳民族が天塩にかけて育てるコーヒーやマカデミアナッツは、高品質なタイの代表的なお土産として、タイを訪れた人々にも大変好評だ。

また、代々受け継がれてきた伝統的な手織り布の技術に新鋭のデザイナーがモダンなエッセンスを加えたテキスタイルは世界的にも高い評価を得ており、2021年には4年連続でグッドデザイン賞を受賞。さらにはラーマ9世も愛用していたことで知られている「オニツカタイガー」のスニーカーともコラボレーションを果たしている。
持続可能な社会をめざして取り組むプロジェクトの元祖であり、リーダーとしてタイのSDGsを牽引する稀有な存在なのだ。

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