認知症の高齢者がコーヒー淹れを体験!彼らに優しい社会の実現に取り組む
台湾では2025年に65歳以上が人口の2割を超え、5人に1人が65歳以上の高齢者になるといわれている。そこで台湾の〈7-ELEVEN〉(統一超商)では、社会的弱者である高齢者を支援する様々なプログラムを長期にわたって実施している。
交通が不便な場所に暮らす高齢者にお弁当を配達するサービス「好鄰居送餐隊」や食品や日用品などを載せて売りに行く移動販売車などのほか、2017年からは「天主教中華聖母基金會」と共同で、認知症の高齢者に向けたプロジェクト「幾點了咖啡館」を実施。これは週に1度、認知症の患者がとなり、レジ打ちやコーヒー淹れなどの業務を体験するという内容。手と目を動かすことで知的な刺激を得られるほか、人々と交流することで、社会における認知症に対する理解を広げていくのも狙い。
現在16の団体と協力し、全19店舗で実施。2023年には店舗外に拡大し、嘉義県中埔郷にある認知症グループホーム兼デイケアセンター〈隆興多功能長照服務園區〉に初の独立した喫茶店〈幾點了咖啡館PLUS〉を設立した。ここでは認知症の患者が平日1時間、フィルターでコーヒーを淹れる業務を体験する。
このプロジェクトにはこれまで4000人近くが参加。その8割が幸福感と自信を高めることができたという。一方、認知症患者の家族の9割が介護のストレスを緩和でき、家族関係を良好にすることができたという調査結果も出ている。認知症の高齢者に対する優しい社会の実現。その取り組みは今後、ますます必要性を増していくに違いない。