シネマ尾道が上映してきた上位10作品
1位
東京物語(’53)
2位
野火(’14)
3位
東京裁判(’83)
4位
ひまわり(’70)
5位
時をかける少女(’83)
ぼけますから、よろしくお願いします。(’18)
ミッドナイトスワン(’20)
アメリカン・ユートピア(’20)
雨月物語(’53)
10位
シェルブールの雨傘(’64)
再興した2008年以降の、延べ2000ほどの作品を集計。『ひまわり』はリマスターを機に2020年に上映。こちらもアンコールに次ぐアンコールで順位を上げた1作。繰り返し観るファンも多いという『雨月物語』は、溝口健二監督特集などで上映。「隙あらば掛けたい」というほど支配人・河本さんが大好きな『シェルブールの雨傘』が10位に滑り込んだ。
映画の街・尾道でこそ観たい作品揃い
新作と特集上映を織り交ぜた、独自のプログラムを上映する映画館。この地にかつて存在した〈尾道松竹〉の建物を活かして再興した劇場だ。上映回数が圧倒的に多いのが小津安二郎『東京物語』。その理由を支配人の河本清順さんが教えてくれた。「物語の舞台のひとつが尾道なんです。それもあって、この街は小津監督を敬愛するヴィム・ヴェンダース監督をはじめ、世界の映画ファンが集まる場所でもあります。
映画という芸術と縁が深い土地なのだと、子供たちにも知って欲しくて毎年7月頃、当時小津監督らが撮影をした時期に上映しています」。ほかにも、尾道出身の大林宣彦監督による尾道三部作のひとつ『時をかける少女』や、近年ではドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』も、ともに舞台は尾道。確かにここは、映画の街なのだ。
文化として親しまれているからか、『ミッドナイトスワン』『アメリカン・ユートピア』と、ごく最近の作品がランクインしているのも面白い。「当館では、上映して特に評判がよかったものはすぐに、半月後にでもアンコール上映をしているんです。口コミで話題が広がって、再度アンコール!と回数が増えていったのがこの2作。前者は涙、後者は清々しい表情に、とお客さんの反応が全く違う作品だけど、どちらも幅広い年代のかたに支持されました」。
「塚本晋也監督『野火』をはじめ、毎年夏の”戦争と映画”をテーマにした上映は欠かせません。『東京裁判』は5時間近いドキュメンタリーですが、上映を重ねるにつれ若い世代のお客さんが増えている印象があります。今後もトップ3は毎年のように数を重ねていくでしょうね」。