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シネマコンシェルジュの映画監督論:岡奈なな子「緊張、不安、驚き……様々なタイプの恐怖系監督に注目。 」

巨匠から新鋭まで、素晴らしい監督たちが次々と登場する今、観るべき監督を知るには、やっぱり信頼できる映画通の後ろ盾が欲しいもの。独自の審美眼で映画シーンを追いかけ続ける30人に頼ることに。

Illustration: Thimoko Horiguchi / Text: Yoko Hasada, Aiko Iijima, Saki Miyahara, Konomi Sasaki / Edit&Text: Emi Fukushima

映画好き岡奈なな子へ7つの質問

Q1

あの監督の虜になった名シーンは?

岡奈なな子

ピリピリと音が聞こえてきそうな緊張感の中に、鳴り響く重低音。目前で銃撃戦が繰り広げられているかのようなマイケル・マン監督の『ヒート』での銃撃戦に心を奪われました。

Q2

好きな監督のベスト作品は?

岡奈なな子

デヴィッド・フィンチャー監督の『ファイト・クラブ』。多くを語る必要はなし。5回観ました。

Q3

好きな監督のイマイチだった作品は?

岡奈なな子

「ダニー・ボイルが撮った」。この思考が頭から剥がれなかったからか、『イエスタデイ』は私にはピタッときませんでした。

Q4

最近になって魅力的に感じるようになった監督は?

岡奈なな子

『パラサイト 半地下の家族』

によって、『殺人の追憶』『グエムル-漢江の怪物-』『母なる証明』『TOKYO!』『オクジャ/okja』の5作品がしっくりこなかった私のポン・ジュノ監督像が、いい意味で覆されてしまいました。観賞後は、思わず頭を抱えるくらいに面白かったです。

Q5

あの監督に撮ってほしい、意外なテーマは?

岡奈なな子

ラース・フォン・トリアー監督の個人的なホームビデオをでっかいスクリーンで観たいです。あの人が一体何を食べているのか、それだけでもいいから知りたい!

Q6

個人的に今気になっている監督は?

岡奈なな子

ティモ・ジャヤント監督。バイオレンス!アクション!とんでもない血しぶき!そんなインドネシア産とんでもアクション映画『シャドー・オブ・ナイト』をレコメンドします。

Q7

将来が楽しみな次世代の監督は?

岡奈なな子

特に思いつきませんが、世代的にも人間とAIの戦争&友情&冒険譚を若手に撮ってもらいたい。

2010年以降の「この監督のこの一本」。
チョン・ボムシクの『コンジアム』

YouTube世代に刺さる新感覚のホラー描写に脱帽。

CNNが選出した世界7大心霊スポットの一つである実際の廃病院で撮影されたホラー映画。心霊スポットに赴き、その風景を生配信して収益を得ることを目的としたチャラい若者集団が、制裁を受けるかのように心霊現象に遭遇していく。

なんだかよくある設定のように思えますが、ここで効いてくるのが、今や誰しもが発信することのできる、SNS等を利用した生配信であるということ。まるで実際の配信映像を観ているかのような感覚に陥るため、それ自体が身近な恐怖として襲いかかります。

各登場人物も、チャラついたノリから恐怖のどん底に突き落とされていき、カメラはブレブレ、大声で叫びまくり。最初は大金が手に入ると意気込んでいたのに……。決定的な残酷描写は少なめ。しかし、そこもホンモノっぽさの演出に一役買ってくれている。

生配信という身近で確かな怖さが終盤にかけて徐々に襲ってくる、そんな新感覚ホラー映画として、特に今のYouTube世代には刺さる一本に仕上がっています。1970年生まれのチョン・ボムシク監督が、若者の視点や価値観で映画を作る姿にただただ感服。