いまだに大麻と聞くだけで訝しく思う人も少なくなさそうだ。確かに、CBD(カンナビジオール)は身体に良いとされているし、海外での臨床試験ではそれも証明されているけれど、売られている製品には特に日本独自の認証マークらしきものも見当たらない。いち消費者として素朴な疑問が頭をよぎる。「ホントに使っていて違法にあたることはないの?」。
いろんなことが気になってきたので、管轄となる厚生労働省に問い合わせてみた(2021年10月1日現在)。質問に答えてくれたのは、全国12カ所にある地方厚生局のひとつで、東京都千代田区にある、関東信越厚生局 麻薬取締部。いわゆる「マトリ」だ。
この取材の目的は、あくまで正しい知識を得ること。消費者代表として質問を投げかけた。基本的に書面での回答(太字はそのまま転載)をいただいたのだが、ここでは分かりやすく解説を加えながら引用したいと思う。
まず、関東甲信越厚生局 麻薬取締部がどんな役割を担っているのか、質問をした。CBD製品のガイドラインについても触れられている。
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CBD(カンナビジオール)を含有する製品の輸入における確認
大麻草の成熟した茎や種子のみから抽出・製造されたCBD(カンナビジオール)を含有する製品については、大麻取締法(昭和23年法律第124号)上の「大麻」に該当しませんが、近年、海外から輸入し販売される大麻草の成熟した茎又は種子のみから抽出・製造されたCBDを含有すると称する製品(以下「CBD製品」という。)の一部から、大麻取締法に規定する大麻に該当する製品が発見されています。
このため、厚生労働省ではCBD製品が大麻取締法に規定する大麻に該当しないことの確認(関税法(昭和29年法律第61号)第70条の規定に基づく確認を含む。)を行なっています。なお、令和2年4月1日から当部においてその該否を確認しています。
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法律が随分前に制定されたものであることに驚く。さらに、実際に取り締まりの対象となる製品が摘発された例があることにも触れられている。では、そもそもどうやって輸入業者は許可を得ているのか。まずは製品の輸入の流れについての規定があった。
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確認の手続き
(1)対象物
本邦に未到着又は到着して保税地域(関税法第30条第1項各号に掲げる外国貨物及び同法第86条第1項の規定により留置した旅客等の携帯品にあっては、保税地域以外の場所も含む。)に蔵置された通関前のCBD製品。
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ここで注意すべきは、日本の空港に降り立った時点で所有していたら、対象物になるということ。海外では国や地域によって認定基準が異なるので、安易にお土産感覚で買ってくると、日本に持ち帰った時点で摘発対象になるケースもあるということ。
次に、輸入業者は、どのような審査を経て消費者に製品を届けているのかについて。
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(2)確認事項
対象となるCBD製品について、輸入者から提出された書類に基づき、
・大麻草の成熟した茎又は種子のみから抽出・製造されていること、又は化学合成により得られたCBDを用いて製造されていること。
・大麻由来の成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)が検出されていないことを確認し、大麻取締法に規定する大麻に該当しないことを確認しています。
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意外だったのは、CBD製品が大麻取締法に抵触しないかどうかについて、現時点では書類上で確認するにとどまっているということ。これは物理的な流通量を考えたときに、検査設備、人員等の問題があり、審査段階では実物の検品までは行っていないということだ。ただし、100%ではないし、税関では抜き打ちの検品もあると聞く。
輸入するにあたり、提出すべき審査書類とはいかなるものか。
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(3)提出資料
CBD製品の輸入者から次に掲げる資料の提出を求め、確認しています。
①大麻草から作られているCBD製品の場合
・証明書、成分分析書、写真
②大麻草から作られていないCBD製品の場合
・証明書、成分分析書
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日本で大麻草の栽培は基本的に認められていないので、CBDの原料も100%輸入に頼っているのが現状。つまり、原料か製品かにかかわらず、これを輸入する業者は、信頼できる第三者認証機関の成分分析書と証明書は、必須というわけだ。消費者もウェブサイトや店頭で、そのあたりの事実関係を確認してから製品を購入したい。
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(4)確認後の連絡
大麻取締法に規定する大麻に該当しないことが確認できた場合は、当部から輸入者に対して、電話にてその旨連絡をしています。
ただし、輸入者から提出された資料に基づき確認を行なっているため、輸入の際の税関若しくは厚生労働省の検査又は国内における検査でCBD製品からTHC等の我が国において規制されている物質が検出された場合は、大麻取締法等に基づき処罰を受ける可能性があることを併せて説明しています。
あとがき
ここまで回答をしてもらったものの、実はまだ厚生労働省内でも、法的整備やガイドラインの制定については途上にある。来年になったら、違うルールで運用される可能性もあるというから状況を見守る必要があるだろう。
最新情報は厚生労働省の公示やホームページ、もしくは下記の輸入業者向けに公開されているウェブサイトで確認しよう。
https://www.ncd.mhlw.go.jp/dl_data/cbd/guidecbd.pdf