人も猫も「挨拶」が大事。距離感は次第に詰める
「物心がついた頃から、実家を出る20歳くらいまで常に僕のそばには猫がいました。だからきっと、猫の気持ちが僕にはわかるんです(笑)。この作品に写っているアジとネギ以外にも、たくさんの猫を撮影してきましたが、初対面の猫の撮影には僕なりのノウハウがあります。まずは、目を合わせないこと。
かわいいからといって顔を覗き込むと猫にとっては威嚇になってしまい距離感は開くばかり。目を合わせずに、そっと人差し指を猫に差し出し、においを嗅がせます。猫に向けての挨拶でもあり、安心させる手段にもなります。あとは、少しずつ距離感を縮めて、こっそり写真を撮る。距離感が一番なので、機材や光は一切不問で。
ここに写る2匹のうち、太っちょのアジは実は少し前に亡くなりました。僕が仕事から帰ると身を寄せ合って待っていた2匹。その時の時間や記憶を残しておけるのが写真のよいところ。僕のスマホのカメラロールは猫写真ばかりで茶色いんです」
