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愛する猫の魅力は、どうすれば伝えられる?写真家・阿部裕介に学ぶ、猫写力

猫は絶えず動くし、表情もクルクル変わる。撮りたい瞬間に意図した姿を収めるのは難しい。愛する猫の魅力は、どうすれば伝えられるのか。写真のプロ、さらに愛猫家ならいい方法を知っているに違いない。猫飼い写真家・阿部裕介さんに聞いた、お気に入りの一枚と撮り方、気構え。

text & edit: Taichi Abe

人も猫も「挨拶」が大事。距離感は次第に詰める

「物心がついた頃から、実家を出る20歳くらいまで常に僕のそばには猫がいました。だからきっと、猫の気持ちが僕にはわかるんです(笑)。この作品に写っているアジとネギ以外にも、たくさんの猫を撮影してきましたが、初対面の猫の撮影には僕なりのノウハウがあります。まずは、目を合わせないこと。

かわいいからといって顔を覗き込むと猫にとっては威嚇になってしまい距離感は開くばかり。目を合わせずに、そっと人差し指を猫に差し出し、においを嗅がせます。猫に向けての挨拶でもあり、安心させる手段にもなります。あとは、少しずつ距離感を縮めて、こっそり写真を撮る。距離感が一番なので、機材や光は一切不問で。

ここに写る2匹のうち、太っちょのアジは実は少し前に亡くなりました。僕が仕事から帰ると身を寄せ合って待っていた2匹。その時の時間や記憶を残しておけるのが写真のよいところ。僕のスマホのカメラロールは猫写真ばかりで茶色いんです」

猫
「アジネギ」