アルファ ロメオ ジュリア 2000GTV
購入者:建築家・西沢立衛
洗練されたデザインの中に、運転することの楽しさ、人間本来の豊かさを秘めた一台
アルファ ロメオに出会う前は車に関心はなく、ただ走ればいいと思っていました。横浜国立大学で教えるようになり、事務所との移動用に探したのがきっかけです。新車がよかったのですが、アルファ ロメオの旧車を扱うディーラーでピカピカに磨かれ光り輝いている車たちに圧倒された結果、まずスパイダーを購入。排気量などの関係から、18年ほど前このジュリアに乗り替えました。
ジュリアはイタリア車らしく非常にオーガニックです。人間的というか。調子が悪いと「えぇーっ、今日は行きたくない」とばかりにエンジンもかからないのに、良い時は「空でも飛んでやる!」という勢いで走る(笑)。まるでジュゼッペ・ヴェルディのアリアのように伸びやか。先代のスパイダー、そしてジュリアのおかげで運転の楽しさも覚えました。アルファ ロメオの車には、ジョイ=走ることの喜びがある。そして、デザインにおける的確なスケールが“人間の居場所”を作り出している。
この走るという車の機能が喜びを伴うという事実は、僕の建築に対する考え方にも少なからず影響を与えました。住みやすい家ではなく、住みたくなる家。人間的な豊かさの意味を改めて考えさせてくれたと思います。
メルセデス・ベンツ W123 280E
購入者:〈TODAYFUL〉デザイナー、ディレクター・吉田怜香
絶対買うと決めていたヴィンテージカー
車に乗るなら1980年代くらいのヴィンテージベンツと10代の頃から決めていました。街中でいいなと目に留まる車がこの年式のベンツばかりで、単純に好きなのだと。ただ免許を持ってなくて、今後、自分で運転することはないんじゃないかと思っていた2年前、なんとなく見ていたSNSの広告で出会ったのが1984年式の「メルセデス・ベンツ W123 280E」。
希望していたオフホワイトで、状態も良かった。翌日見に行って即決。免許は、車を購入してから取りに行きました。車があると、行動範囲が広がるように。仕事終わりなど、ちょっとした時間に目的なくドライブして、お気に入りの音楽をかけて一人の空間を楽しむ。私にとってはとても価値のある時間です。
〈ルノー〉のアヴァンタイム
購入者:〈Swimsuit Department〉代表・郷古隆洋
前衛的なデザインが、人との出会いも広げていく
十数年前に走っているのを見かけて以来、「自分が乗るなら絶対にこれ!」と決めていて9年前に入手。フランスの自動車デザイナー、パトリック・ルケマンが手がけたもので、後ろのテールランプの三角形や、サイドのガラスにピラー(ボディの柱)がないアバンギャルドなデザインが秀逸。
フランス車らしからぬ、イタリアの80〜90年代のポストモダンっぽい雰囲気も気に入っています。それに、この車に乗っているととにかく声をかけられる。フランス人に懐かしいと手を振られたり、珍しがられたり、「僕も昔乗っていました」と置き手紙をされたり。
車好きな人を巻き込んで、コミュニケーションを広げてくれるところに、デザイン以上のものを感じています。
メルセデス・ベンツ G280 CDI Edition 30.PUR
購入者:アートディレクター、グラフィックデザイナー・平林奈緒美
デザインのすべてに理由がある、初代W461ボディモデル
とにかく四角いところが好き。最低限の機能しか備わっていないし、真っ平らなフロントガラスから観音開きのドアまで全部のデザインに理由がある。頑丈だという点も気に入っています。
メルセデスのGクラス(ゲレンデヴァーゲン)は、過去には国連軍にも採用されていた車両。私にとってはオシャレな車でもラグジュアリーな車でもなく、小学生の頃に見たニュース映像の中でサラエヴォを走っていた国連車両のことなんです。
そんなGワゴンを初めて買ったのは2002年、一般のモデルでした。以降、白い車体のGワゴンだけを6回乗り継ぎ、7台目でようやく思い描いていたものに出会いました。もう手放さず、ずっと乗り続けるつもりの一生ものです。