今週の空模様
「『私は』という叫び声を大事にしなくちゃいけないわけです。みんなと同じ考えや感受性は、哲学をつぶしていくわけですよね。百人のうち九十九人がBGMを望んでいても、『私は聴きたくありません』と言うことが大切なんです」
――中島義道『人生を〈半分〉降りる』
今週は、水星が乙女座エリアを運行し始め、木星は牡羊座を運行しています。この2天体は「インコンジャンクト」という位置関係を取るようになります。
「インコンジャンクト」は、全く異なる性質や立場の2つの存在が、意識して互いの違いを理解しようとする努力によって、多くを学ぶ、というイメージです。
乙女座のモデルは、ギリシア神話における農業の女神デメテルやその娘ペルセポネと言われることが多いですが、遡るとその原型は古代バビロニアの星座にある「畝の女神」です。いずれも農作業に関する女神です。
古代において、農作業での必要から発達したのが暦。暦は天体観測によって作られ、天体観測と文化が混ざり合い占星術の基となりました。
2021年に発見された粘土板からは、古代バビロニア人が三平方の定理を用いて畑の測量図を作成していたこともわかっています。
このような、測量的で数学的、物事を滞りなく管理するエッセンスを乙女座は持っていて、そこを運行する水星(知恵・交渉)は、乙女座的な能力をスムーズに発揮できるようにしてくれます。
木星は成長、拡大、成功、富、法や正義、宗教、楽観性、親切さ、寛容さなど多くの象意を含んでいます。ギリシア神話では主神ゼウスと紐づき、権力を行使する者としての存在感もあります。
今週木星は牡羊座エリアを運行しており、逆行を始めました。そのことにより、振り返りをしたり取りこぼしを確認したりするようなエネルギーがやってきて、権力や豊かさや富について再考するチャンスを与えてくれます。
牡羊座は12星座の中でトップバッターの“爆誕パワーの炎”。個人のもつ生命力を司ります。個々の命の健やかさを優先するための、富や法や正義(木星)を思い出すタイミング。
今週は、情熱を持ってトップに立つ木星牡羊座に、有能なブレーンの水星乙女座がつくイメージです。
木星牡羊座の幸せになろうとする「健全なエゴ」を守るために、水星乙女座の知恵が活かされると良い場面です。水星の、理路整然と物事を整理し計画を進める能力を活用することで、自分自身の「豊かさ」を掴む具体的なアイデアが出てくるでしょう。
太陽は先週に引き続き獅子座を運行して社会全体を明るく照らし、「社会正義」についての討論が熱く燃えそう。
また、火星(意欲・闘争心)は天王星(改革・刷新)と牡牛座エリアでぴったりと重なった後に、土星(試練・責任)と厳しい配置に。やりたいことをやれるようにするための作戦会議。
金星(愛と喜び)は冥王星(極端さ・運命的な力)と真向かいになり、調停として海王星(夢や妄想)が介入。夢と希望と妄想の区別が難しくなりそうです。
乙女座の星模様
その基準は何のためにある?
水星が乙女座エリアを運行すると、坂道を上る背中を追い風が支えてくれているように、爽やかな助けを得た気持ちになるかも。
普通の自転車がアシスト自転車にぱっと変わったようなイメージもあります。木星との配置が告げる課題は、「意識して学ぶこと」。
今週のテーマは、ひとりひとりの喜びや幸せは違って当たり前で、それを踏まえた上での最大公約数を探すような思考でいることです。
公正や平等を愛する乙女座の知性ですが、「みんな一緒」という画一的な方法が正解ではない場面です。
たとえば「ひとり1つ」のルールがあったとしても、足りない人には多めに、足りている人には基準通りに、という不均等さがあってもいいのです。それはえこひいきではありません。
人道的な判断とはどんなものであるのか、学ぶタイミングです。
太陽が獅子座を運行している期間(〜8月23日)は、自分の至らなさに気がつきやすいかもしれません。ただただ落ち込むのではなく、思慮深く謙虚になることでさらに聡明になるチャンスです。
先週に引き続き、金星が人脈運を意味する場所を運行しています。
この金星が冥王星と海王星とコンタクトすることで、うっかり甘い誘惑にそそのかされてしまうかもしれません。昔からの知り合いの話でも、慎重に見定める必要があります。
また、火星と天王星がぴったりと重なった後に、土星と厳しい配置になる影響で、「学び続ける厳しさ」を感じることがあるかもしれません。やりたいことと、やるべきことのバランスが難しいと悩むかも。
しかし、苦悩が新しい解決方法や活路を見出す力になることもあります。自分とは発想の違う人にアドバイスを貰うのも良いでしょう。
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