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ブルータス時計ブランド学 Vol.46〈ノルケイン〉

海より深い、機械式腕時計の世界から、知っておきたい重要ブランドを1つずつ解説するこちらの連載。歴史や特徴を踏まえつつ、ブランドを象徴するような基本の「名作」と、この1年間に登場した注目の「新作」から1本ずつ、併せて紹介。毎回の講義で、時計がもっと分かる。ウォッチジャーナリスト・高木教雄が講師を担当。第46回は〈ノルケイン〉。

text: Norio Takagi / illustration: Shinji Abe

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スイス時計界の未来を拓く新星


ブランド名の頭文字である“N”を2つ並べて山の山頂を象ったロゴは、勇敢な登山家のチャレンジ精神を表している。〈ノルケイン〉は、2018年に誕生したばかりのスイス時計界期待の新星である。

創業者のベン・カッファーは、歴代が時計製造に携わってきた一族に生まれたサラブレッド。自身もブライトリングで輝かしいキャリアを積んだ後、幼少期から慣れ親しんできたスイス製機械式時計の魅力を、もっと若い世代に伝えたいと〈ノルケイン〉を設立した。この時、30歳。スイス時計の未来を拓くという彼の情熱を共有する、同世代の経営者が率いるさまざまな分野のサプライヤーの協力を得て、創業の翌年にコレクションが完成した。

全モデルが機械式で、完全スイスメイド。デザインは奇をてらわず、適度なヴィンテージ感を伴うスポーツウォッチの王道を行く。その外装には入念な手仕上げが行き渡り、さらにケース左サイドに、好みの文字を刻んでパーソナライズができる“ノルケインプレート”を装備する。上質で見た目に優れ、遊び心があり、かつコストパフォーマンスも秀でる〈ノルケイン〉の機械式腕時計は、市場から大歓迎された。

2022年には、〈ブランパン〉を再興し、〈ウブロ〉を大成功に導いた時計界のレジェンド、ジャン-クロード・ビバーが顧問に就任。彼は、自身のキャリアで得たノウハウを若い世代に伝えるべく、ここに白羽の矢を立てたのだ。そしてビバーの助言で、多層構造のケースとさまざまにカラーリングできる独自のカーボン複合材“ノルテック”という新しい風がもたらされた。

これらを採用して昨年誕生した「ワイルド ワン」は今年、新たな試みとして350万通りもの組み合わせが可能なパターンオーダーをスタートさせた。スイス時計界の明るい未来を拓く〈ノルケイン〉の挑戦は、これからも続く。

【Signature:名作】フリーダム 60 クロノ 40mm

1960年代スタイルを、スタイリッシュにアレンジ

フリーダム 60 クロノ 40mm

ハイコントラストな3つ目ダイヤルやボックス型のサファイアクリスタル風防、ハンマー型のプッシュボタンといったレトロな印象のディテールは、1960年代のスポーツクロノグラフをモチーフとする。同時にケースを潔いシリンダー型とすることで、現代的にアレンジ。

適度なヴィンテージ感は、幅広い世代の時計ファンの琴線に触れるだろう。多くの他社が採用し、信頼性が実証された高性能な汎用ムーブメントを搭載。62時間という十分なパワーリザーブが備わり、実用性に優れる。防水性能は100m。フィールドウォッチとしても心強い。

径40mm、自動巻き、SSケース。720,500円。

【New:新作】ワイルド ワン スケルトン 42MM

超軽量な新素材をレイヤード

ワイルド ワン スケルトン 42MM

ムーブメントを格納したチタン製のコンテナを、ラバー製のショックアブソーバーに収め、その表と裏をノルテック製のパーツでサンドする。25個のパーツからなるレイヤードケースは、豊かな立体感と異素材の融合を可能とした。

いずれの素材も比重が低く、スケルトンダイヤルとも相まって総重量はわずか78g。超軽量なスポーツウォッチは、COSC認証クロノメーターの高精度と200mの高防水を誇り、さまざまなアクティビティの絶好のパートナーとなる。その最新作は、ブラック×コーラルのカラーリングが目に鮮やか。

径42mm、自動巻き、ノルテック+ラバー+チタンケース。902,000円。

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