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ブルータス時計ブランド学 Vol.41 〈オリス〉

海より深い、機械式腕時計の世界から、知っておきたい重要ブランドを1つずつ解説するこちらの連載。歴史や特徴を踏まえつつ、ブランドを象徴するような基本の「名作」と、この1年間に登場した注目の「新作」から1本ずつ、併せて紹介。毎回の講義で、時計がもっと分かる。ウォッチジャーナリスト・高木教雄が講師を担当。第41回は 〈オリス〉。

text: Norio Takagi / illustration: Shinji Abe

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スイス、機械式腕時計文化の継承者

ブランドポリシーは、“Go Your Own Way”(自分らしく行こう)。そして製品開発においては「身の丈に合った贅沢」を、身上とする。〈オリス〉は、機械式腕時計を身近な存在とするブランドとして時計ファンの間で知られている。

1904年、スイス北西部の緑豊かなヴァルデンブルグ渓谷に位置するヘルシュタインで創業。ブランド名は、村を流れる小川の名前に由来する。今も創業地と同じ場所に本社を置き、今年120周年の節目を迎えた。その歴史の中で〈オリス〉は、スイスの機械式腕時計の文化継承に多大な貢献を果たしてきた。

1956年には、時計の新技術は政府の許可なしでは使えないと定めた「スイス時計法」が〈オリス〉の進言によって撤回。時計産業の独立性を勝ち取った。また現体制となった1982年、クォーツショックのさ中にもかかわらず、〈オリス〉は機械式腕時計だけに特化すると決め、文化の灯を守った。

当時、機械式腕時計は趣味的な高級品だけになっていた。そこに〈オリス〉は、高品質かつ手に取りやすい価格のモデルを提供することで、機械式再評価の道を開いたのだ。中でも1938年製モデルに範を採って1984年に誕生した「ビッグクラウン・ポインターデイト」は、世界的に大ヒット。今もブランドのアイコンとなっている。

機械式だけを製作する時計ブランドは、稀有な存在。2014年には、自社製ムーブメントを復活させた。それも10日間駆動という超ロングパワーリザーブで。以降、耐摩耗性に優れた自動巻き機構や高耐磁ムーブメントなど、独自技術を次々と開発。高性能な自社製ムーブメント搭載であっても、〈オリス〉らしい価格帯は堅持されている、それが可能なのは、独立ブランドだから。〈オリス〉は、常に我が道を行く。

【Signature:名作】ビッグクラウン ポインターデイト キャリバー403

85年以上受け継ぐ、アイコン

ビッグクラウン ポインターデイト キャリバー403

1938年製モデルから継承するブランドのアイコン「ポインターデイト」に、自社製ムーブメントを搭載。小振りなケースとスモールセコンドとが相まって、レトロな雰囲気がひときわ高い。コレクション名の由来となった大型リューズは、パイロットが操作しやすいようにと生まれた機能美である。

モデル名にもある自動巻きCal.403は、小さなトルクで動く高効率な設計で5日間ものロングパワーリザーブを実現。また耐磁性にも優れ、最大10年間メンテナンスを不要とするなど実用性にも秀でる。〈オリス〉の歴史と技術力が、体感できる一本。
径38mm。自動巻き。SSケース。566,500円。

【New:新作】プロパイロットX キャリバー400 レーザー

移り変わるダイヤルカラー

プロパイロットX キャリバー400 レーザー

センターセコンド式の自社製自動巻きCal.400を軽量なチタンケースに収めた、プロ用パイロットウォッチの最新作。ダイヤルもチタン製で、縦方向に約6000本も溝をレーザー加工することで光の反射を操り、見る角度で様々に色が変化する独創的な質感を創出した。

ダイヤル上のロゴや文字、インデックスもレーザー加工による。この技術は、スイス連邦工科大学傘下の研究所との共同開発。科学の力で、まったく新しいカラーダイヤルが誕生した。
径39mm。自動巻き。チタンケース。814,000円。

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