クロノグラフ開発で、パイロットをサポート
1884年に精密機器工房として創設された〈ブライトリング〉は、早くからクロノグラフや計測機器の製造に特化していた。それはまるで、創業者レオン・ブライトリングが、航空機時代の到来を予見していたかのように。
その意志は長男ガストンにも受け継がれ、1915年にはリュウズから独立したクロノグラフ専用プッシュボタンが備わる世界初のクロノグラフ腕時計を開発。そしてガストンの息子ウィリーが1934年にリセット操作を独立させた第2のプッシュボタンを開発したことで、今あるクロノグラフのスタンダードなスタイルが確立された。
またウィリーは、1941年にベゼルで操作する世界初の回転計算尺付きクロノグラフ「クロノマット」を生み出した。さらに1952年には、パイロットがフライトプランを作るのに必要なほぼすべての計算が可能な航空計算尺付きクロノグラフ「ナビタイマー」を発明。これがまず、AOPA(国際オーナーパイロット協会)公式時計として納品されたことで、〈ブライトリング〉はパイロットから絶大な信頼を勝ち取ることとなる。さらに空だけでなく、海にも目を向け、1957年にダイバーズウォッチ「スーパーオーシャン」を世に送り出してもいる。
後継者に恵まれなかったウィリーは1979年、パイロットであり電子エンジニアでもあったアーネスト・シュナイダーにブランドを託した。彼もまた、1984年にパイロットクロノグラフの新時代を開く。超音速ジェット戦闘機のGに負けない頑強さやフライトジャケットに引っかかりにくいケース形状、指がかりしやすいライダータブ付き回転ベゼルなどを備える「クロノマット」だ。イタリア空軍エアロバティックチーム「フィレッチェ・トリコローリ」のアドバイスから生まれ、同チームに納品されたモダンなクロノグラフは暫時改良が加えられ、今もブランドを代表するアイコニックピースの一つとなっている。
1994年に父から経営を引き継いだセオドア・シュナイダーは、品質向上に尽力した。特に高精度化に取り組み、1999年にはすべてのモデルで第三機関COSCによる厳格な精度検定をパスした「100%クロノメーター宣言」を果たす。これは前例のない快挙である。
2017年、〈ブライトリング〉はシュナイダー家の手から離れた。新たな舵取りを任されたジョージ・カーンCEOは、コレクションを空・陸・海の3カテゴリーに再構築。さらに歴史を精査してこれまで顧みられてこなかったタイムピースをブランドの歴史の大河から救い上げた。新たなキャッチフレーズは、「Legendary Future」(伝説となる未来)。歴史的資産を再解釈し、進化させ、〈ブライトリング〉の新たな未来を切り開く。
【Signature: 名作】ナビタイマー B01 クロノグラフ 43
パイロットクロノグラフの永遠のアイコン
1952年誕生の初代から受け継ぐ航空計算尺によって、一目でそれと分かるアイコニックな外観を創出。今も電子機器が故障した際のバックアップ用に、プロのパイロットから絶大なる信頼を寄せられるパイロットクロノグラフの傑作中の傑作である。
これは、誕生70周年を機に初代と同じAOPAのダブルウィングのロゴが12時位置に復活した最新作。ダイヤル外周の計算尺目盛りも、初代と同じフラットに改められている。またケースの仕上げがサテンとポリッシュの組み合わせとなり、ニュアンスが高まった。計算尺を操作するベゼルの回転は、実にスムーズ。緻密な計算尺目盛りは黒いダイヤルにクッキリと浮き立ち、飛行機を操縦中でも視認可能だ。
径43mm。自動巻き。SSケース。1,072,500円。
【New: 新作】スーパーオーシャン オートマチック 42
ノスタルジックな1960年代顔ダイバーズ
〈ブライトリング〉が誇るダイバーズウォッチが、フルリニューアルを果たした。正方形を掲げるスリムな分針や幅広のミニッツカウンターといった特徴的なディテールは、1960年代にあった60分クロノグラフダイバーズウォッチ「スローモーション」をモチーフとする。
見た目は極めてノスタルジックだが、逆回転防止ベゼルのブルーのリングは耐傷性に優れるセラミックを採用。入念に磨き上げた艶感のあるブルーで、現代的な雰囲気を併せ持たせた。ブレスレットは斜めにカットした各コマにより、装着時に傾かない。またバックル部分で最大15mmの長さ調整ができ、ウェットスーツやラッシュガードの上からでも着用が可能だ。
径42mm。自動巻き。SSケース。594,000円。