ここ数年、AGA(男性型脱毛症)に特化したクリニックや治療薬が増えている。デリケートな悩みだけに、なかなかオープンに話をできない人も多い。そこで、松倉クリニックの医師、田路めぐみさんに正しい知識について伺った。
Q
薄毛の要因として、どんなことが一般的に考えられますか?
田路めぐみ
男性ホルモンの影響もありますが、多くの人は生活習慣の崩れが原因になっています。大事なのは健康的な食事、適度な運動、質の良い睡眠、ストレスの軽減。これを意識するだけで良化する方もいます。
Q
「うちの家系は薄毛だから」と話す方もいますが?
田路めぐみ
そうですね。ただ、遺伝的な影響は2〜3割にすぎず、7割は環境因子に起因します。つまり、生活習慣を整えることで、状況は大きく変わります。薄毛の原因となる生活習慣の乱れは、悪い遺伝子を動員する恐れがありますし、逆に規則正しい生活を心がければいい遺伝子を使う癖が体の中に植え付けられるのです。
Q
毛髪に関する知識を、誤解している人も多いと聞きます。
田路めぐみ
毛穴の詰まりを取ることは、髪に良しとされていますが、洗いすぎはNG。豊富な泡で優しく丁寧に洗いましょう。あくまで適度な皮脂や潤いを残しつつ、汚れはきちんと落とすことが大事です。
Q
普段、自宅でできるケアには、どんなことがありますか?
田路めぐみ
頭皮マッサージは血流が良くなるので有効です。特に細かな部分は、マッサージ器具を使うことをおすすめします。クリニックなどで販売しているアミノ酸を配合した専用のシャンプーを使うのも有効です。ただ、どちらも継続して使用することが大切です。
Q
医師が処方するAGAの内服薬は効きますか?
田路めぐみ
血行と発毛を促進するミノキシジルと、AGAの進行を止めるプロペシアは効果が認められています。ただプロペシアはEDや精子減少といった副作用があるので慎重に検討を。育毛シャンプーと同様、体内環境が悪いと服用しても持続的効果は期待できません。
Q
クリニックが多くて選べません。基準になるのは?
田路
治療法や値段などそれぞれ特色があるので、まずは自分に合いそうなところを選んで、無料相談に行くことを推奨します。AGAの知識を深めることも大事です。