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BRUTUS愛犬写真グランプリ!〜前編〜

BRUTUS犬特集の名物企画!ご自慢のわんこ写真の中から「これぞ」な一枚を選出するグランプリが帰ってきました。お笑い芸人、写真家、ノンフィクション作家を審査員に迎えてベスト・オブ・愛犬写真を選出!後編はこちら

初出:BRUTUS特別編集 増補改訂版「犬だもの。」(2023年4月11日発売)

photo: Natsumi Kakuto / text: Ryo Hasumi

表情豊か。お出かけもできる。そんな動物だからこその一枚

審査員の3人

ノンフィクション作家・片野ゆか、芸人・片桐仁、写真家・徳永彩
左から/片野ゆか(ノンフィクション作家)、片桐仁(芸人、俳優)、徳永彩(写真家)。

片野ゆか

たくさんお持ちであろう愛犬写真の中からこれを送ってくるか!という、飼い主さんの心意気を感じる写真が多かったように思います。

片桐仁

笑えたり、細かいところが気になったり、個性派揃い。ダメな写真なんて一枚もないから悩みました。

徳永彩

そう、どの写真も100点!どれも愛が写り込んでますから。見るたびに別のかわいさが見えてきちゃう……。やはり、犬ならではの写真とは?という観点から絞り込んでいきましょう。

片野

一つは、犬って、猫やほかの動物よりも、一緒に旅しやすい。

片桐

もう一つは「表情」ですね。

片野

表情筋があまりないといわれているのに不思議なのですが。人間ですか?という表情の子もいるし。

徳永

そんな基準の中から選んだ栄えある金賞は、マタウに決定!

金賞 マタウ(8歳)

犬 マタウ
「薄曇りで、逆光気味なシチュエーションもいいし、写真としてバッチリ」(片野)
「長渕剛さんが飼っていた犬かな?と思うくらいの凜々しさが!」(片桐)
「誌面に大きく載せて見たい一枚でした」(徳永)

片野

旅先と思われる写真はいろいろありましたが、これは別格。

片桐

凜々しいんですよ、マタウ。

徳永

ここにいるのが小型犬だと、また画(え)的にちょっと違いますしね。

片野

逆光気味のシチュエーションもいい。ちなみにマタウって名前はミクロネシアの言語で「海」っていう意味らしいですよ。

片桐

いろいろ揃いすぎ!(笑)

徳永

続いての銀賞は、ニコです!

銀賞 ニコ(11歳)

犬 ニコ
「高齢犬には高齢犬のかわいさがありますね」(徳永)
「自分から足に挟まりにきたのかな?飼い主さんが挟んだのかな?とか、愛を感じるシーンを想像しちゃう」(片桐)
「大好きな人と体をくっつけたい。そんな気持ちが表れてますね」(片野)

片桐

高齢犬ですね。ご主人の顔も、あまり見えてないのかな?表情も穏やかで。若い頃はもっと感情が顔に表れていたのかもしれません。

徳永

でも、かわいいですね……。ニコは4歳の時にこの家に来た保護犬だそうですよ。

片野

足の間に挟まれているのも信頼関係の証し。表情は穏やかですが、眼差しから愛を感じる素敵な写真。

片桐

続きまして、銅賞は、てん!最高の表情をしてます。

 てん(4歳)

犬 てん
「犬じゃない動物みたい、かわいい!ジワジワきます」(徳永)。
「おバカな顔、たまりません」(片桐)。
「保護犬なんですね。保護前に爪が伸びたままだったからかな、指先が広がってる。生い立ちと、今の幸せそうな顔含めて愛おしい」(片野)

徳永

生き物として、ジワジワくる写真ですね……。どうしてこんな表情になったのかな?

片桐

不意の風を感じてる?(笑)なんかいい匂いするな〜って。

片野

てんは、山にいたのを保護された犬とのこと。ほかの兄妹はきれいな顔と体をしていたけれど、「この子はかわいそうな顔してるのぉ〜」と言われていたそうです。

徳永

でもすっかりかわいくなって。飼い主さんがたくさん愛情を注いだのが伝わってきます。

惜しくも受賞を逃した迷作たち

徳永

ニコもてんも保護犬。前回のグランプリの時よりも、飼う人が増えているみたいです。

片野

私も今飼っていますよ。

片桐

うちでも2頭飼っています。だからかなぁ、グッときた犬の写真は雑種が多かったですね。

徳永

レオもるりも、すごい表情してますよね(笑)。

レオ(14歳)

犬 レオ
「どうしちゃったの~!?」(徳永)

るり(11歳)

犬 るり
「デビル顔シリーズ。鼻についてる白いのは何だろう?」(片桐)
「ヨーグルト?この表情をあえて送ってくるところに飼い主さんの愛を感じます」(片野)

片野

犬には色々な表情がある、その中でもこれはデビル顔と言いたくなります。普通、こういうコンテストって、みんなが絶対かわいいと思うものを送ってきそうなのですが。悪魔顔をぶつけてくるところに、相当愛してるんだろうなぁというのを感じるんですよ。

片桐

何に怒ってるんだろ。飼い主さんが手を持ってるみたいだし、爪を切るのを嫌がってるのかな?

片野

視線がかなり下だし、寝っ転がって一緒に遊んでいるうちにヒートアップしちゃったとか?

片桐

ドッグランに連れていくと、こういう顔しません?ほかの犬に対して。「鼻の上の筋肉をそんなに縮めないでくれよ〜」って思うほど。

徳永

レオなんておじいちゃんですよ。14歳の本気顔!

片野

コモモもすごい顔ですね。

コモモ(8歳)

犬 コモモ
「自分のこと、人間だと思ってそうだなあ」(徳永)
「人っぽい表情が良いですね」(片桐)
「耳が長くてかわいい!」(片野)

片桐

夏目雅子さんが、両耳を引っ張ってこういう顔をした有名な写真ありましたよね?それみたい。

徳永

似てます(笑)。こういう写真は、飼い主じゃないと撮れないですよね。取材でいきなり行っても無理。

片桐

旅先で撮った雄大な写真部門でいうと、テリー、チョコ、ブラウニーには驚きました。これどこですか?って。

テリー、チョコ、ブラウニー(9歳)

トイプードルのテリー、チョコ、ブラウニー
「リードが伸びてる。横に飼い主さんがいるんですね」(徳永)
「じっとしていられて、すごい!」(片桐)
「スケール感もすごい」(片野)

徳永

最初、真ん中のチョコが人間に見えました。足を開いた人が奥にいて、遠近感でこう見えるのかなって……。

片桐

見えないですよ!(笑)飼い主さんが、ちょっと離れた場所から撮るみたいな光景を見たことありますが、じっとしてて偉いですよね。

片野

小型犬なのにここまで頑張って登ってきたのかな?とか、いろいろ想像できて面白いですね。

“正統派”もいいけど、あえてのアングルにキュン

片野

福もすごい写真ですよ。これも旅先なのかな?

福(2歳)

犬 福
「お利口な姿勢と顔!」(徳永)
「いい環境~」(片桐)
「お出かけできる犬ならではの写真」(片野)

徳永

抜群のシチュエーション。

片桐

いいですよね〜、でも、実は僕、票を入れてないんですけど。

徳永

なぜ?(笑)

片桐

やっぱりバカ味のある写真が好きだからなのかな〜。そういえば、みなさんも、正統派の写真にあまり票を入れてなくないですか?

徳永

プロの人が撮った、雑誌の表紙を飾るような写真ですよね。めちゃめちゃかわいいやつ。タマみたいな。

タマ(0歳)

犬 タマ
「プロか?と身構えた、愛犬雑誌の表紙になってもいいくらいの一枚」(片野)

片野

確かに。ほかにも、私の知り合いのカメラマンが撮ったのかな?と思うくらいなものがありました。

片桐

僕は口を開けている写真も好きですね。ポコとか。

徳永

MozuchangとかTangみたいに、鼻の短い犬も気になっちゃう。

ポコ(7歳)

犬 ポコ
「この箱もいいですが、口から絶対に何か言葉が漏れてそうなこの顔が絶妙!」(片桐)

Mozuchang、Tang(13歳)

犬 MozuchangとTang
「私がフレンチ・ブル好きだからか、こういう鼻がぺちゃんこな犬に惹かれます」(徳永)

片野

あえて背中を持ってくるという写真も面白いものが多かったです。

徳永

ぼんなんて、お尻丸見え!

ぼん(5歳)

犬 ぼん
「愛犬の肛門を愛おしく感じる気持ち、わかります」(片野)
「顔じゃなく、後ろ姿で勝負してくるなんて!」(片桐)

片野

日本犬系好きは、肛門に愛を感じる人も多いですから。

片桐

サクラのお尻……デカッ!いや、顔が小さいのかな?

サクラ(14歳)

犬 サクラ
「お尻だけでもいろいろ写真が集まって、並べて見ると面白いですね」(徳永)

片野

不思議な写真なんですよね。遠近法?すごく小顔なのかな?

片桐

どれも飼い主さんにとって、たまらない姿でしょうね。

徳永

やっぱり犬の写真って、愛が通じ合っている人が撮る一枚には敵わないなって思います。