本格的なMTBは、歩道を走れないこともある。
スポーツバイクもシティバイクも道交法上では軽車両。歩道を走れることもあるが、基本は車道だ。しかし、それは長さ190㎝、幅60㎝以内の「普通自転車」のこと。本格的なMTBはハンドル幅60㎝以上のモノが多く、「車道、もしくは道路の左側部分に設けられた路側帯のみ通行可」となる。ハンドル幅をカットして調整していない場合、一般的な歩道を走ることができないこともある。
自転車の法定速度は、時速何㎞?
制限速度が時速60㎞の道路でも、原動機付き自転車は時速30㎞を超えると速度超過になる。これは車両に定められた法定速度と、道路によって定められた制限速度の低い方で走らなければならないから。しかし、自転車にはこの法定速度がない。なので、道路の制限速度内で走っていれば問題ない。
とはいえ、ロードバイクで下り坂を飛ばしていると速度超過になりかねないので気をつけよう。
未装着でも鳴らしても違反、ベルはいつ使うもの?
スタイルを気にして、自転車にベルを装着していない人は多い。しかし、ベルは道交法で装着が義務づけられている。ところが、歩行者によけてもらうために鳴らすのはNGだ。使ってもいいのは 左右の見通しの利かない交差点や曲がり角等で道路標識等により指定された場所を通行しようとするとき。それ以外の場面では、危険を防止するためやむを得ないときを除き、ベルを鳴らしてはならない。
点滅ライトは、前照灯にならない?
昼間しか走らないのであれば、ライトが装着されていなくても道交法には抵触しない。そのためスポーツバイクにはライトが標準装備されていないが、日没後から翌日の日の出までは必須となる。そこで、勘違いされがちなのが点滅型ライトだ。対向車や歩行者に自転車がいることを知らせるポジションライトとして人気は高いが、埼玉県のように、点滅ライトでは夜間用ライトとして10m先を照らすには不適切としている都道府県も多い。
夜でも街灯などで明るい場所を走ることが多い人なら200ルーメン、郊外や住宅地など暗い場所を通る人なら400ルーメンを基準に製品を選ぶといいとされている。また、後続車に走行を知らせるためのアイテムは反射材でも違反にはならないが、安全面からすると、テールライトを装着した方がベター。
自転車レーンなら、進行方向は……自由?
一方通行の道でも自転車は対象外になっていることが多いが、どこを走ってもいいというわけではない。自転車は車道の左側を走るのが基本で、歩道は例外。対向のクルマが見えやすいからといって、車道を逆走するのは通行区分違反で3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金となる。歩道はどちら向きで走っても構わないが、車道寄りを徐行すべし。
極端に疲れた状態で乗ると3年以下の懲役!
自転車の罰則で最も厳しいのは薬物や酒の影響下での運転で、5年以下の懲役または100万円以下の罰金だ。次いで厳しいのが過労運転。クタクタに疲れた状態で走っていると、道交法第66条第1項の「過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない」に抵触し、3年以下の懲役または50万円以下の罰金になる可能性もある。
自転車保険って、加入しないと違反なの?
2015年の兵庫県を皮切りに、各自治体で自転車保険の加入が義務化されつつある。罰則規定こそないものの、住んでいる人はもちろん、通過する人にも適用されるため条例違反になる可能性も。自転車による事故の賠償金は高額化しており、これまでの自転車事故における高額賠償は、2013年に神戸で出された判決の9,521万円というものがある。
ほかにも5,000万円以上の賠償を命じる判決がいくつも出されている。また、ショップのグループライドの参加条件として、保険の加入を挙げているところも多い。自転車保険は日常生活での利用が主な対象で、通勤中や車両規制中の道路での事故は適用外のこともある。最近はヘルメットと保険の加入はサイクリストのエチケットになっているので、細部まで調べたうえで、忘れずに保険には入っておこう。
傘を差して乗るのは日本人の特徴だけど……。
アジア人の見分け方の一つとして、「雨の日に傘を差して自転車に乗るのは日本人」といわれている。それだけ傘を差して乗る人は多いものの、手をハンドルから離して傘を差すのは道路交通法違反。
シティサイクル用の傘を固定するブラケットは人気アイテムの一つだが、これは都道府県によっては禁止しているところもある。いずれにせよ、雨の日に乗るときはレインウェアが安全ということだ。
たとえ片耳だけでも、イヤホン走行は危険!
好きな音楽を聴きながら……という気持ちはわかるが、サイクリングロードであっても走行中にヘッドホンやイヤホンを着けるのはオススメできない。道交法的には違反にはならないが、都道府県ごとに異なる道路交通規則に抵触する可能性がある。
片耳であっても周囲の音が聞こえていないと判断されれば、道交法の安全運転義務違反にもなる。従って、スピーカーで大音量も取り締まり対象だ。