紙の本の引力が詰まった、一生持ち続けたい一冊
京都に居を構え、せっかく比叡山の麓に越してきたのだからと手にした一冊。何度か読んだことがあったけど、目の前に比叡山がドーンと聳(そび)える環境で開くと、より自分に近づいて読めて、入り方が全然違う。本というのは二度と同じように読めないのだと実感しました。
仏教や行者に対する著者の距離感や完全には理解できないものへの尊敬の気持ちなど、昔は読み流していたところにもシンパシーを感じるのは年齢のせいだけではないはず。
湯川書房は文学作品と気鋭の美術家を掛け合わせて装丁に意匠を凝らした限定本を手がけてきた素晴らしい出版社。過去の本ですが、これからも紙の本にしがみついて生きていきたい僕としては、新しささえ感じます。