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〈星野リゾート〉代表・星野佳路の人生最高のお買いもの「Macintosh SE」

人が欲しいと思うものには、その人の価値観や人生観が表れます。何を思い切って手に入れ、何を大切にしてきたか。“お買いもの”とは究極の消費行動であると同時に、自分の人生を彩るために何が必要なのかを教えてくれるものです。〈星野リゾート〉代表・星野佳路さんのベストバイ・ストーリーは?

photo: Satoshi Nagare / text: Junya Hirokawa

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愛着を感じ、ブランドとは何かを意識するようになったリゾート経営の原点

アップルの初代Macintoshの誕生が1984年。その頃、ホテル経営を学ぶためにアメリカの大学院にいて、1つ上の日本人の先輩に、「今年、アップルから今までと違う、マウスっていうのが付いた新しいパソコンが出るから」と言われて生協で買いました。

アップルなんて知らないし、タイプライターもろくに使ったことはなかったのですが、人生初のパソコンは修士論文の執筆に大活躍。しかし、「データの裏付けが不十分」など、担当教授のOKがなかなか出ない。結局、卒業式の2ヵ月後にようやく、卒業証書を受け取ることができました。

マウスを含めたインターフェイスの快適さに感動したのと、大変な時期を共に過ごしたこともあって、愛着を感じて、日本に持ち帰ったのが89年。その頃から、世の中には愛着を持てるものがあると意識するようになりました。

デニムにはリーバイス好きがいるし、燃費が良くなくてもハーレーダビッドソン好きはいる。これがブランドです。それを初めて認識できたのがMacintosh。判断基準は、一緒の空間に存在した時に心地よいと思えるかどうかで、それが今の仕事にも生きています。愛着に気づき、初めてブランドを体感できた、何より大きい買い物でした。

「Macintosh SE」
フロリダ出身の同級生にもらった専用バッグ「MacBag」に入れて持ち帰ったMacintosh。歴代のマックの名作を軽井沢の自宅に飾って眺めている。

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